終わらないことへの恐怖


 結論を先に言えば、エタはなるべく回避するべきだと思います。その根拠を書いていきます。エタとは簡単に言えば未完ということで、以前エタについて書いた気もするけどここでまとめておきます。


 以前「エタは良いか悪いか」という論争がありまして、エタ否定派は「一度始めたことはきちんと最後までやり遂げるべきだ」という考えで、エタ肯定派は「ウケない話をダラダラ書くより更にウケそうな話を書くことに力を注ぐべきだ」という考えでした。


 エタ否定派の言うことはわかります。それでも人によって事情がありますので、更新が途切れることもあるでしょう。だから全てのエタが悪かと言えばそうでもないとは思います。病気や怪我、仕事や家庭の都合など特に趣味で書いている人なら仕方のないこともあるでしょう。


 ただし、肯定派の考え方には大いに疑問があります。ひとつは「ウケない話しか書けない人が設定だけ変えてウケる話を書けるの?」というもの。もうひとつは「一体何のためにそんな設定ガチャみたいなことしてるの?」ということ。


 特に「何のために設定ガチャしてるの?」と言えば、多分読まれるためでしょう。ただし「如何に読者ウケを狙うか」に特化するため、その人の書きたいテーマとか心情とかそういうのは考慮しないで「ただなろうテンプレを繋ぎ合わせていく」という作業になりがちです。


 そうなるとテンプレでも面白い人とそうでない人の差が出てきます。テンプレを面白おかしく料理出来る人と、ただテンプレをぶった切って適当に盛り付けたものでは評判が変わります。それで思いの外PVが伸びないので「モチベーションあがらん!更新やめる!違う設定で勝負する!」と言っても、根本的な問題は設定とは違うところにあるのでまたつまらないものを量産します。


 例えば今はダンジョン配信がブームですが、おそらくブームが終わるとこれらのものは一気に更新されなくなっていくでしょう。流行りの設定をツギハギしてそれで読者を引っ張ってくるのであれば、マリトッツォのように瞬間最大風速は稼げるかもしれませんがすぐに飽きられてどこにも売ってなくなってしまいます。


 継続して小説を書いていきたいなら、マリトッツォになるのではなく地道なパティシエを目指す方が堅実です。もちろん力のある人がマリトッツォを作るのはいいのですが、アレコレつまみ食いして「やーめた、次は流行ってるから作ろう」というマリトッツォ、どっち食べたいですかね?


 大体において同じくらいの能力を持った人が現れた場合、比較されるのは誠実さが多いです。さて、同じくらい面白い小説家がいたとして比べられた時にそれなりに完結させている作家とちょこちょこ設定ばかり作ってはエタってる作家、どっちが信頼できますか?それだけの話だと思います。


 そういうわけなので、小説は最後までオチを考えてから書きましょう。途中で書く気がなくなったら無理矢理にでも何とか完結させましょう。未完を連発する人が絶対に出来ないのはお話を締めること。お話は締めないとしまらないのよ。あと、どうせ終わらないならってPV下がっていくよ。


 いよいよ真夏の創作祭による連続更新も大詰め。明日は「つまんない設定」の話です。さて頑張って書きましょう。

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