開かないはずの本
翌日。いつものように斬鴉さんとともに図書当番を請け負って、珍しく宿題に取り組んでいたところ、
「すみません。変なウサギのストラップ、ここにありませんか?」
松葉杖を着いた女子生徒が尋ねてきた。なんでも、最近まで入院していて、紛失したことに気づけなかったらしい。
まさか昨日の今日で持ち主が現れるのは意外だった。僕は、待っててください、と言い残して資料庫へ向かうとダンボール箱を開けた。そして、目を剥いてしまう。中のガラクタを漁るが……これは……。
ひとまずストラップを取り出して女子生徒に返し、誰も利用者がいないことを確認して斬鴉さんを手招きした。
「斬鴉さん、ちょっと」
不思議そうな表情を浮かべた斬鴉さんは、紙のブックカバーに包まれた文庫本に栞を挿み、資料庫に入ってくる。どうでもいいが昨日借りた本はもう読み終わったらしい。
「どうかしたのか?」
僕はダンボール箱を指差す。
「昨日、僕は開かずの本をしっかりとこの中へ戻しました。そして、少なくとも僕たちが図書室をあとにした五時半まで、誰もここには入っていません」
このあやふやな言葉でも斬鴉さんは察しがついたようで、片膝を床に着けてダンボール箱の中を覗いた。その中には、最も目立っていたはずの開かずの本が入っていない。
斬鴉さんは目を細めてこめかみに手をあてがう。
「絶対確実に間違いなくここへ入れたのか?」
「はい。絶対確実に間違いなくパーフェクトに入れました。……持ち主が現れて、先生が返したんでしょうか?」
「どうだろうな。図書室の落とし物を把握しているのは司書の常木先生だけだろうけど、その常木先生は昨日、体調不良で休んでいた。可能性は低いな。そもそも、どんな教師でも情報共有くらいはしてくるだろ」
それもそうか。となると、
「盗まれた……ってことですかね?」
「ここにないのなら、そういうことだろうな」
開かずの本が、盗まれた……。うーん。十分大きな出来事のはずなのに、危機感がさっぱり湧かない。
「お疲れさーん! お二人さーん! ……あれ?」
本部屋の方から夏凛さんの声が聞こえた。斬鴉さんは資料庫の扉を開けて顔を出す。
「夏凛。しばらく当番をしていてくれ。事情は後で話す」
そして僕に向き直り、
「他に盗まれたものがないかチェックするぞ。元々何があったのか、あんまり憶えてないけどな」
僕は力強く頷く。……が、僕が憶えているのはダンボール箱の中のものくらいで、他に何があったのかは本当にわからない。
現在のダンボール箱の中身と昨日の記憶とを照らし合わせることしかできない。しゃがみ込んでダンボール箱を覗き込んでいると、スチールラックの奥に妙に埃の塊が多いことに気づいた。確かにこの部屋は埃っぽいけど、昨日はこんなになってたっけ?
顔を床につけて何となくスチールラックの下を確認してみると……、
「え?」
予想外のものがあり、変な声が漏れた。
「どうした?」
斬鴉さんの問いかけに僕は行動で答えた。スチールラックの下に手は入りそうもない。掃除用具入れから箒を取り出すと、怪訝な目を向けてくる斬鴉さんをよそに柄を使ってそれを手繰り寄せた。
斬鴉さんが目を見開く。
「おい、それは……」
下にあったのは開かずの本……の、ブックカバーだ。中身の本がなくなっている。しかし、錆びたボタンは留められたまま健在だ。僕は昨日ぶりにボタンを外そうと全力で引っ張った。やはりというか、まったく外れる気配がない。
「ボタンを外さずに、中身の本だけが消えた……」
呆然と呟くと、斬鴉さんも追従する。
「これはまるで……小さな密室事件だな」
「ふにゅにゅうー! うん。無理」
試しに夏凛さんにもボタン外しにチャレンジしてもらったが、二秒でリタイアした。彼女は両手を広げて僕に突き出す。
「そもそも、この可愛いお手で外せると思う?」
何となく夏凛さんの右手に左手を合わせてみた。僕も手が大きいわけではないけれど、だからこそわかる。
「手、ちっちゃいですね」
「でしょ? 小学生のころから成長してないもん」
それは誇張――というか誇小?――されているだろうが、子供のような手なのは間違いない。
斬鴉さんがカウンターを指でとんとんと叩いた。
「状況を整理するぞ。本が盗まれたのは昨日、あたしたちが帰った五時半過ぎから今日の放課後までの間だ。ただ、放課後以外は常木先生がいる可能性が高いから、犯行時刻は昨日あたしたちが帰ってすぐと考えるのが妥当だな。忘れ物をしたとか言って、図書室の鍵を借りたんだろう」
「じゃあちょっと職員室に聞き込みしてくるよ!」
推理小説好きの夏凛さんがかつてないほどウキウキしたような表情で図書室を出ていき、すぐに戻ってきた。
「光太郎くんが鍵を返した後、図書委員を名乗る女子生徒が忘れ物をしたって鍵を借りていったみたい。五分くらいで戻ってきたらしいよ」
拍子抜けする事実である。
「じゃあほぼ事件解決ですね。どんな女子生徒だったんですか?」
「それがさ、対応したのが今年転勤してきたばかりの
なんだそれは……。タイミングが悪すぎる。
「それじゃあ犯人が本当に図書委員かもわかりませんね」
「いや、図書委員だろ」
斬鴉さんが断言した。
「大柴先生がコンタクトを付けているか否かなんて、犯人にはわからないからな。よしんばコンタクトが外れるところを見ていたとしても、視力がどの程度かなんて知る由もない。図書委員なんて嘘を吐いて、いや違うだろってなったら間抜けすぎる」
なるほど。言われてみればそうだ。しかし、身内が犯人なのは幸か不幸か……。
「あたしがいない金曜日にやらなかったのは、何か事情があるのかないのか……。いや、単純にあたしが帰った後だったからタイミングは関係ないのか。……まあいい。最大の謎としては、犯人はどうやってブックカバーから本を抜き取ったのかだな」
斬鴉さんがブックカバーを見つめながら呟いた。ボタンは外れそうもないし、本のそでは確かにゴムのバンドを通っていたため押し出したりはできない。
「図書室が管理している落とし物が図書委員によって盗まれていいわけがない。利用者もいないし、ちょっと考えてみるか」
「そう来ないとね」
夏凛さんがにやりと笑う。彼女的には『ギリシャ神話大全』よりずっと魅力的な謎なのかもしれない。
「だったら、犯人を探し出すのが得策ですよね。本を盗んだトリックは犯人から聞き出せばいいですし」
指を一本立てて得意げに進言すると、夏凛さんが露骨に顔をしかめた。
「光太郎くんさあ、貸してあげたシリーズ読んでてそんなこと言う?」
「いやだって、面白がって解決先延ばしにするのは違くないですか?」
僕は間違ったことは言っていないので、夏凛さんはぶすっとした表情で斬鴉さんに助けを求めた。
さて、真面目な彼女の回答は、
「トリックの検証から入る」
夏凛さんの表情がぱあっと明るくなった。
「その心は?」
「トリックがわからないまま犯人にだけ辿り着いても、知恵で負けたことになって何か嫌だから」
めちゃくちゃ私的な理由だった。僕自身はどう転んでも構わないので、斬鴉さんの方針に従うだけだ。
僕も考えてみよう。犯人はどうやってブックカバーから本を抜き取ったのだろうか。最初に思いつくのは、実はこのボタンに何か細工がしてあるという可能性だ。ブックカバーのボタン部分をじっくり観察してみる。目につくところにおかしなところはない。ならば、ここからでは見えないところに何かあるのでは?
「こういうのはどうでしょう。このボタン、実は強力な接着剤で留められているだけで、それさえ溶かせば簡単に外れるというのは。犯人はそれに気づいていた。溶剤や熱で接着剤を溶かしてボタンを外し、再び接着し直した」
自信があったのだが、二人の表情は芳しくなかった。
「ボタンが接着されているから外せないって可能性までは否定しないが、流石に再接着は無理があるな。溶剤を流し込む隙間はボタンにはないし、接着剤を溶かすほどの高温を発する装置も図書室にはない。そんな装置を持ち込めるはずもないしな」
「それに接着し直したばかりの割には、接着剤の臭いも溶剤の臭いもしないもんね」
ううむ。違ったか。まあそう簡単にわかるわけないか。
続いて、夏凛さんがブックカバーを引き寄せ、
「光太郎くんが言った、錆びてるけど実は簡単に外せるっていうのは、私も同感なの。きっと、何か特殊な外し方をしなきゃいけないだけなんだよ。もちろん熱や溶剤以外のね」
では、その特殊な外し方とは? 夏凛さんは意気揚々とボタンを弄っていく。ペットボトルのキャップを開けるようにボタンを捻ったり、左右にずらそうとしてみたり、シャーペンの先をボタンの下に突っ込んでテコを利用してみたりした。しかし、ボタンはピクリとも動かなかった。
「うん。違うみたい」
それは見ていただけだがよくわかった。
今度は斬鴉さんがブックカバーを手にする。じろじろと観察しているが、僕の目からは年期の入った黒い革製のブックカバーということしかわからない。小口にあたる部分はボタンのベルトによって閉ざされており、多少なりとも開くことはできない。本のそでで折り返す箇所は短めで、代わりにミスマッチなきし麵のようなゴムバンドが二本付いている。
斬鴉さんはゴムバンドに触れた。本がある状態では気が付かなかったが、輪ゴムを切ったようなアーチ状になっている。二本とも両端が接着剤か何かで後付けされているのだろう。しかし、最近接着し直したような痕跡は見られない。それから、二本ともかなり短い気がする。斬鴉さんが親指を引っかけて軽く引っ張るだけでもあっさりと伸びた。ゴム自体は結構柔らかいようだ。やはり予想通り、短いゴムを限界近く伸ばしてそでに通していたのかな。……そしてやはり、黄色は目立つな。
続いて斬鴉さんはボタンのついたベルトに触れた。
「この縫い付けられたベルト……革製なのは同じだが、本体と色が若干違うな」
斬鴉さんの呟きを聞きつけ、僕と夏凛さんはブックカバーに顔を近づけた。背表紙から伸びるベルトと、ボタン凹側を縫い付けている革は僅かに紺色な気がする。
「それが、どうかしたんですか?」
「手作り……あるいは市販のブックカバーを改造したものってことだ。後付けのボタンとベルトに細工がある可能性は十分考えられる。それから、このゴムバンドもな。あるいは……」
斬鴉さんは目を伏せ思考の海へと沈んでいってしまう。
夏凛さんが頬杖を着き、
「大体、さ。ブックカバーだけ残して本だけ抜き取るのも変だよね」
「あー、確かにそうですね。ブックカバーごと持ち去ればよかったのに」
斬鴉さんも頷き、
「それも疑問に思っていた。考えられる可能性としては、本は欲しかったけどブックカバーだけは本気でいらなかった。あるいは大した手間もかけずに本を抜き取れたから、だろうな。けど……」
ブックカバーごと持っていくのが一番手っ取り早いのは間違いないのだ。不要なら後で捨てればいい。
犯人の不可解な行動。これまでの経験則から考えると、この類の不可解は犯人の急所になり得る。……たぶん。
不可解と言えばもう一つ。
「そもそも、犯人はどうして本を盗んだんでしょうね。あの本を何としても読みたかったってわけじゃないでしょうし。本に何かが挟まっていた風でもなかったので、本以外のものが目的というわけでもなさそうです」
本に何かが挟まっていれば、その部分のページが浮き上がってわかったはずだ。
「詳しい動機に関しては犯人に直接尋ねないことにはわからないだろうな」
斬鴉さんがそう言うなら、きっとそうなのだろう。
今考えるべきは、犯人は如何にして本を取り出したのか、この一点に尽きるだろう。いわゆるハウダニットというやつだ。最近夏凛さんから借りた推理小説で憶えた単語だ。
僕には斬鴉さんのような推理力はない。助手の役目はとりあえず推理を口にして玉砕されることにある。思いついたことを言っていくしかないな。
「ハサミで中の本を切り刻んだとか、どうですかね。天地に刃の先端をあてがい、ジョキジョキしてれば割と切れそうですけど」
「ボタンのベルトを切ればいいだろ」
「ブックカバーを傷つけたくなかったとか」
どうして傷つけたくなかったのかと聞かれると、答えようがない。次いで夏凛さんからの反論。
「それって五分でできるの?」
……そうだった。犯行に要した時間は僅か五分なのだ。もちろん試したことはないので断定はできないが、今の所行を五分でできるとは思えない。できる自信もない。
犯人は忘れ物を取りにいったという体で図書室に入れてもらっているのだ。時間がかかるかもしれない行動は取らなかったはずだ。あまり長居すると教師が様子を見に来るかもしれないのだから。
他に何かないか……。ゴムバンドを伸ばして強引にそでから外す……も、ほとんど伸びる余力はなかったな。あの程度しか伸びないのなら無理だ。
外部からどうこうするのは限界があるか。やはり斬鴉さんの言う通り、犯人はブックカバーに元々施されていた仕掛けを利用したと考えるのが妥当だ。しかし、そんなもの見当たらないのだが……。
考え込んでいると図書室の扉が開いた。驚いてそちらを向くと、眼鏡をかけた如何にも堅物そうな厳しい表情を浮かべた中年女性が入ってくる。常木先生だ。
「お疲れ様です。夜坂さん、古町君、月崎さん」
「お疲れ様です、先生。……実は、先生に報告することがあります」
斬鴉さんは何の躊躇もなく開かずの本の中身が盗まれ、その犯人が図書委員であることを伝える。夏凛さんはハラハラしていたが、常木先生は眉一つ動かさなかった。
「そうですか。……この件はひとまず、夜坂さんに一任します。犯人が見つかりそうになければ私に相談を。あなたが動くからには杞憂でしょうが」
「あれ、常木先生、あんまり気にしてないです?」
予想外のリアクションだったのか夏凛さんが首を傾げる。
「どうせ落とし主は現れませんからね。図書委員が盗むという手段を用いたことは由々しき事態ですが。……欲しいと言えば譲渡したというのに」
この人って、見た目の雰囲気や口調、それから先輩たちからの話から真面目堅物の印象を抱いていたのだが、実は結構融通が利くというか、案外雑なところがあるのかもしれない。
「あの本って、いつから学校にあったんですか?」
僕は若干の親しみを感じつつ手を挙げて尋ねる。常木先生はカウンターを通り過ぎて窓辺の椅子に座り、
「去年の九月……ちょうど文化祭が終わり、振替休日が明けた日です。図書室の返却ポストにそのブックカバーに包まれた状態で入っていました。私は学校外の人間が悪戯で仕掛けたものだと睨んでいます」
左手でノートパソコンを開き無表情で答えた。
……ちょっと待て。それは、おかしくないか?
本が現れた時期に特別予想を立てていたわけではない。しかし、その答えは絶対にないものだと睨んでいた時期だったのだ。頭が混乱を通り過ぎて逆に冷静になっていく。
常木先生の話に強烈な疑問符が浮かんだまま消えない。同時に、思考がこの事件のことなどぶっちぎり、別の違和感を見つけ始める。
これは、一体どういうことなのだろうか。その疑問を、口に出すことなどできなかった。
◇◆◇
「どんな本が入っていたのか、興味あったんだけどなあ」
意図せず覗いてしまったとある真実に呆然としていた僕を、夏凛さんの呟きが現実まで引き戻してくれた。……これを確かめるのは、後でいい。今はこの事件のことを考えよう。
「まあ、図書館とかの本じゃないことと、ソフトカバーってことしかわかってないですもんね」
平静を装いつつ放った僕の言葉に斬鴉さんの身体がぴくりと反応した。そして髪の寝癖部分を人差し指でいじり始める。
「そうか……ソフトカバーか。ソフトカバーだったな。失念してた」
ブックカバー自体が割と硬質なので、触れただけではハードカバーと思っても無理はない。しかし、ソフトカバーであることが、それほど重要なことなのだろうか。
斬鴉さんが僕の方へ身を乗り出してくる。
「開かずの本を犯人以外で最後に触ったのはお前だ、古町。触ったときの感想……いや、事実を教えてくれ」
「はあ……」
よくわからないが、斬鴉さんの頼みを断るという選択肢は僕にはない。昨日のことを思い出しながら、開かずの本に触って得た事実を全て伝えた。
斬鴉さんは鋭い目つきに少しばかりの歓喜を浮かべた。……この目はこれまで見たことがない、と思ったのも束の間、すぐに困惑の表情になってしまう。
「なる、ほど……なのか?」
「え、何そのリアクション。トリック……本の仕掛けがわかったの?」
夏凛さんの問いに斬鴉さんは首を捻り、
「ああ。わかりはした。けど……この開かずの本の制作者はどうしてこんな仕掛けをしたんだ? 目的はわかるが、およそ妥当性が見えない。逆に大した理由じゃないのかもな」
一人で納得し始める斬鴉さん。僕と夏凛さんには何を言っているのかさっぱりだった。
斬鴉さんは腕を組んでしばらく黙ると、
「あたしと古町は帰宅部、夏凛は料理研究会。枯木は文芸部で秋富士は手芸部。他の図書委員の部活は何だっけか?」
「大輝くん卓球部。鷹野ちゃん帰宅部。丹羽ちゃん園芸部。纐纈さんは帰宅部だけど頻繁に友達と居残って勉強してるみたい。志津さんは科学部だね」
それを訊いて、一体どうなると言うのだろうか。
斬鴉さんは窓辺でノートパソコンと向き合う常木先生に顔を向ける。
「先生。ここ数年の図書委員の卒業生に、現図書委員の兄か姉はいましたか?」
意図不明の質問だ。常木先生は無表情でタイピングをしながら、
「私の口から卒業生が関わる個人情報を話すわけにはいきません」
「あ、はいはい! 私知ってるよ。丹羽ちゃんのお兄さんがいたって」
常木先生は無反応だった。生徒が話す分にはタッチしないらしい。
「五年前に卒業したんだったかな」
「四年前ですよ。自信満々に手を挙げて誤情報を話すとは……」
と、常木先生。何だかんだ教えてくれるんだ……。
夏凛さんは照れくさそうに頭を掻いて続ける。
「でも、確かお兄さんが高校を卒業する少し前にご両親が離婚してたはずだよ。丹羽ちゃんとは同じ中学だったから、ちょっと知ってるの」
斬鴉さんは「なるほど。やっぱり丹羽か……」と呟いた。彼女には一体、何が見えているのだ。
丹羽さんが犯人ということなのか。しかし、何故そうなるのかが読めない。
斬鴉さんはパソコンで貸出履歴を開くと、表示されているタイトルの上三つをマウスの軌道で円を描いて囲った。いずれも貸出中だ。
「これらの本があった本棚を調べるぞ。おかしな本があるかもしれない」
「おかしな本って……具体性がないんですけど」
「図書室の規格に則ってない本だ。背ラベルもコートブックフィルムも貼られていない。蔵書印も押されていない。だから見ればわかるし、手に取ってみればもっとよくわかる」
僕と夏凛さんはやはり首を傾げることしかできない。
僕たちは手分けしてその本を探した。割とあっさりと見つかったが、その本を見て衝撃を受けた。同時に、開かずの本の秘密についてはよくわかった。
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