『うなぎさんとかばやきさん』

やましん(テンパー)

『うなぎさんとかばやきさん』


 あるひ、うなぎさんは、おみせのなかで、かばやきさんにであいました。


 かばやきさんがいいます。


『ぼくは、きみの、ちかいみらいなんだ。』


 かばやきさんは、ひどく、てかてか、ひやけしているようでした。


『そんなに、ひやけしたら、いたくないですか?』


 うなぎさんは、たずねました。


『うんにゃ。いたいのも、かんじなくなった。』


『それは、よいことですか?』


『うんにゃ。よくないような気がするよ。』


 そのとき、何かが起こりました。


 何なのかは、うなぎさんにはわかりません。


 ただ、目の前に、海がやって来て、その中に、投げ出されたのです。


 かばやきさんが、どうなったかは、わかりません。



         🐚



 うなぎさんは、孫にこの話をいつもしていました。


 しかし、孫は、陸というものは、まるで知らなかったし、知りようもありませんでした。


 地球は、海ばかりになっておりましたから。



          🌊



             おしまい


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『うなぎさんとかばやきさん』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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