長老

 カルシュが、ミユナをと村人たちを無事に連れ帰ると、長老は一向を長老の家にまねき、いやにニコニコした顔をして出迎えてくれた。

「君は、本当におひとよしだな……」

「いや、もともとは、俺を助けてくれたし、村の人たちを巻き込んでしまってすまない」

「いや、いいのじゃよ、ホラ、星間アーマーや盗賊をやっつけてくれたじゃろ」

「……ああ、でも一時のことかもしれない、またいつ襲われるかわからない、一時しのぎかも」

「いいのじゃよ」

 長老はにこにこと笑みを浮かべる、不自然なほどに。

「ところで……これは頼みではなく、お前さんだからこそ、ある提案があるのじゃが」

 ミユナが、カルシュの横にいてカルシュの服の裾をにぎる。

「ねえ、やめた方がいいと思うの、これから何をいわれても、すぐにこの星を離れるべきよ」

「え?なんで?」

「勘」

「……勘って、そんなものどうやって信用すれば」

 ひそひそ話を続けているうちも、長老は話をつづけた。

「“この星の宝”お前さんなら、見つけられるかもしれん、カルシュ」

 瞬間長老は、そのしわくちゃな目をかっとみひらいて、すんと、真顔になったのだった。


 その夜、カルシュは部屋でねむっていたが、妙な気配を感じ、目を覚ます。すると目の前に、ミユナの顔があった。

「ミユナ!!どうしてこの部屋で、別の部屋をあてがわれているだろ!」

「いいじゃない、けちくさいこといわないで」

「……」

「何?黙っちゃって」

「何のようだ?」

 にやにやとするミユナ、しかし、一瞬まがおになった。

「本当に帰らないつもりなの?この先、何があるかわからないわ」

「いや、俺の勝手だろう?」

「いいえ、あなたは私のものよ」

 カルシュの上にまたがるミユナ、そして続けた。

「あなたと私は同じ星で、同じ孤児院で生活していた、私は元シスター、そしてあなたは、孤児、隠れて冒険者をしていたけれど、でもあの頃からあなたの頃はねらっていた」

「世話になったと思ってるよ」

「あたしは長命種だから色々しっているわ」

 そういってミユナは耳をかきわける、そのみみは上が若干とがっていた。ミユナが突然そのおでこを、カルシュのおでこにあてた。

「お願い、危険な事をしないで、私に、お姉さんにまかせれば、安全に冒険させてあげるから」

 カルシュは真顔で沈黙した。そしていった。

「この村の人たちを放っておけない、それに、彼女……サトナは、“あいつ”ににている」

 そういった瞬間、ミユナは唇をかんで、起き上がって、肌着の上のベッドの上にぬいでいたシャツをきて、そそくさと部屋を出る準備をし始めた。

「警告はしたわよ」

「わかっている、自分で責任をとるよ」

「どうだか」

 その言葉が終わるか終わらないかのタイミングで、その部屋のドアが閉じた。

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