「新しい生活」

 暖かな日差しの中、俺は学校に向かっていた。今日から俺は高校二年生。一時期は退学になるかと思ったが、なんとか進級することが出来た。


「おっはよう!」

 後ろから聞き慣れた声に背中を叩かれた。北原だった。そのそばには庭島が手を振っていた。


「よう」

「庭島」

 今日から彼らとともにまた新しい学園生活を送る。それがまた楽しみで仕方がない。胸に期待を抱きながら、学園に向かった。


 新学期ということもあり、初々しい制服姿の学生がみられた。


「新一年生だね」


「だな」

 新しい一年生を見て、去年を思い出した。新しい環境に飛び込んで行くのだ。


 

 新学期を迎えて、新しい担任との簡単なやりとりでその日を終えた。


「そういや、ソラシノ放課後。予定あるか?」


「悪い。任務だ」


「そうか」


「気をつけてね」

 北原が少し不安そうな表情を浮かべた。俺は彼女の頰を優しくつまんだ。


「そんな顔するな。必ず帰ってくる」

 そう。今の俺には大事な存在が出来た。死んでなんていられない。北原と庭島の声援を受けて、俺は戦地に向かった。



 その日は中々、数が多かった。群れをなした忌獣がうじゃうじゃと湧いて出てきた。何度も首をはねて、何ともバラバラにした。


「最近。忌獣の動きが活発になっていますね」


「ああ、近いうちにめんどくさい事が起こるかもな」

 隣には中年の戦闘員がため息交じりに首をかしげた。二年生はなるべく学生生活を優先したいと思っているので、出来れば遠慮願いたいものだ。


「ゲルルルルルル!」


「ケコケコケコ」


「グロロロロロ!」

 忌獣達が森の奥から飛び出してきた。鋭利な爪をかわして、すかさず討伐した。

 返り血が頰を赤く染めても、鉄錆の臭いを感じても進み続けた。


 そうしてしばらくすると無数の忌獣達が集まっているのが見えた。おそらく奴らのコロニーだ。


「先輩方は救援を要請してください。おそらく拉致された一般人もいます」


「お前はどうするんだ?」


「駆逐します」

 俺は武器を手に忌獣達の溜まり場に向かった。


「オオオオオオオオオオオオオオ!」


「グオオオオ!」

 先ほどよりも多くの忌獣達が雄叫びをあげて、飛びかかってきた。一思いに刀状の武器を振るった。


 数分後、辺りは真っ赤に染まり、忌獣達が自身の身から出た血の海に沈んでいた。

 しばらくすると救護班が駆けつけてきた。そして、コロニー拉致されていた一般人複数名の救助に成功した。

「ありがとうございます。本当にありがとうございます」

 拉致されていた女性が頭を下げながら、震える手で俺の手を握った。これでまた一人救われた。しばらくすると東の空から朝日が昇り始めた。



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