③
「も、もしもし!?」
慌てて出る私。
大丈夫だよね?声も上擦ることも無かったし、緊張してるとかパニクってるとか、思われてないよね?バレてないよね!??
『もしもし。
テンパる私とは正反対で、私の耳に当てるスマホからは落ち着いた、そして堅苦しい口調の可愛らしい声が聞こえてきた。
思わず素でツッコミを入れてしまうほどの礼儀正しい言葉に、、、
自然と笑みが零れる。
「堅苦しいよ、飛鳥ちゃん!!?……ふふっ」
『?? そうですか?私、いつも通話をする時は相手が例え親でもこんな感じですけど?』
「えぇ?………それは、目白にも??」
『えっ』
「……………その反応、やっぱり目白には違うんだ。……目白だけ特別なの?」
『え、いや、綾にも同じ態度ですけど………って、そうじゃなくって!け、喧嘩でもしたんですか!?今朝は綾ちゃんって呼んでましたよね?急に目白って、そんな距離の置いた呼び方なんかして』
よかった。
心の中で、そう安堵してる自分がいた。やっぱり幼馴染というハンデはデカすぎるのか、って思っちゃったけど、もしかしたら飛鳥ちゃんにとっては幼馴染も私みたいな普通の友達も、そう変わらない存在なのかもしれない。
「(ざまぁみろ。目白、お前だけみたいだよ。幼馴染っていうポジションにこだわっているのは)」
「まぁ、今朝飛鳥ちゃんがいなくなってから色々とあってね。苗字呼びに変わったんだよ」
『そうなんですか?………それは何と言うか。少し残念です』
「えっ?」
『いえ、あの、二人には仲良くいて欲しかったですから………』
そんな、そんなことを言われたら、せめて仲良く見せる努力だけでもしようって思っちゃうじゃん。
飛鳥ちゃんの悲しそうな声を聞いただけで、嫌いな目白と仲良くなれる努力をしようと思う自分が現れたことに自身で驚く。
私の中で、飛鳥ちゃんってどれほどの影響力を持ってるんだろう?
それが気になってくる。
………そうだ。良いことを思いついた。
「ねぇ、飛鳥ちゃん」
『??? なんですか?』
「もし、もしね?私がまた目白のことを綾ちゃんって呼べるような関係までアイツと仲良くなることが出来たらさ、私にだけは、敬語を辞めてくれないかな??」
『えっ、そ、それは………』
「ダメ、、、かな、?」
『………………分かりました』
やった!
これで、あとは私が表面だけでもアイツと仲良くしているように見せれば、飛鳥ちゃんにとって少しだけ私は特別な存在になれるはずだ。
周りと違う扱いをするだけで、その人のことを意識してしまうものだと、私は今までの女遊びで学んだのだから。
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