第6話

『心打』

下校途中の姫路 恋那 視点です。

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 私こと姫路ひめじ 恋那れんなは隣を歩く私よりも少しだけ背の低い女の子、金桐かなぎり 飛鳥あすかちゃんの横顔を盗み見る。


 思えばこの子を初めて目にした時から、違和感は確かに抱えていた。

 助けてだけじゃ説明がつかない、一目彼女を見たときに感じた胸の高鳴り。

 これが俗に言う、''恋''はたまた''一目惚れ''というものなのだろうか。


 なにぶん、私は何度も言うけれど本気の恋愛というものをしたことが無かった身である。



 この隣を歩くだけで弾むような気持ち。

 彼女の体温に触れたいという願望。

 もっと近づいて離れたくないという独占欲。



 これが、恋?

 分からない。分からないけれど、この初めての感覚と真剣に向き合った方が良いと、私のこの今まで生きてきた16年間の勘が言っている。


 だからこそ、私はの計画を成功させなければならない。

 計画とは何か。

 それは、『複数人に絡まれて困ってる飛鳥ちゃんを私がかっこよく助ける』というもの。

 既に役者は用意している。


 そう、昼間学校にいる時にセフレに頼んだお願いとは、これのことだ。

 少し見た目がキツい子や、声が低めだったり、兎に角、飛鳥ちゃんを怖がらせるのに向いてそうな私の数あるセフレたちの中から選ばれし5人を用意してあるのだ。


 そう、もうお気づきだと思うけれど、全て やらせ である。

 私がかっこよく助けて、飛鳥ちゃんの私に対する好感度が急増して、そのまま仲良く過ごす日々を送って、計算だと1ヶ月遅くても2ヶ月後には飛鳥ちゃんと付き合える計画だ。


 きっと上手くいく。





 …………そのはずだったのに。


 なに、なになになになになに!?!??

 ちょ、ちょちょちょっと!?

 手、手が!飛鳥ちゃんに手を握られてる///

 っていうか、え、飛鳥ちゃん性格イケメン過ぎない?大丈夫そ?これ。

 今、絶対に私の顔真っ赤だってこれ!!

 え、えぇ?

 私が助ける計画だったよね!??ちょ、ほんとに何これ!私、飛鳥ちゃんに手を引かれて、こ、これじゃあ、まるで………




―――私、お姫様みたいじゃん!




 や、やばい。

 まじで顔あっつい。

 確かに年上の女性からは『かわいい』なんて言葉もたくさん貰うし、実際にそういう扱いを沢山されてきたけれど、さ、流石にここまで見事な姫プはされたことが無い。


 仕舞いには、、、


 前を先導してくれる飛鳥ちゃんが後ろを着いていく私をチラリと見てきて、そして、なんと、手をギュッとしてきた。

 微笑みながら。


 ………

 ……………

 …………………

 いた、痛たた!心臓痛っ!


 え、もうこれ無理だわ。

 ドキドキ止まんないわ。これは流石にもう確信せざるを得ないって感じだわ。


「大丈夫ですか?姫路さん」


「あっ」


 飛鳥ちゃんと繋いでいた手が、離れ離れになってしまう。

 悲しい。寂しい。もっと繋いでいたかった。


―――認めなければならない。

―――むしろ喜ぶべきことだ。

―――私は、姫路 恋那は、













 どうやら、惚れさせようとしてた計画で、逆に見事に飛鳥ちゃんにベタ惚れしてしまったらしい。

























 あぁ、ようやっと私にも本気で好きになれる子が出来た。

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