第3話

「別にいいけど。………何か個人的に私に用がある感じかな?私のこと、なんでか知ってたみたいだし」


 ここで一つ言わせてもらうと、私は綾ちゃんと一昨日初めて会った。その、はずだ。

 だから先程、違和感を覚えたのだ。


 彼女は一昨日の夜に会った時から、すでに私のことを知っていた、と言った。なぜ?高校では特に目立った行動もしていなかったはずなのに。

 それともなに?まさか私がこの女子校の新入生、可愛いかわいい後輩の一部とセックスフレンドであることを誰かから聞いたとか?


 いや、それも有り得ない、はず。

 だって、後輩の子たちはみんな、私との関係は『二人だけのヒミツ♡』という甘美な響きで黙っていてくれてるはずだから。


 私はよーく綾ちゃんを観察する。

 今も私と目線を合わせようとせずにモジモジとしている。

 どこからどう見ても小動物。可愛らしい女の子だ。けれど。きっとうちの高校が共学なら、告る男子たちもそれなりにいそうだ。


「あ、あのあの、、、わ、私、、はい。その、実は前から、姫路ちゃんのことは、し、知ってまし、、た」

「………そうなんだ。えっと、それはどうして?」

「え、え?」

「???」


 どうして、と聞いただけなのに異様に驚かれた。何かおかしいかな?知らない子が私のことを一方的に知ってたら、それは「どうして」と疑問に思うのは当然のことじゃない??


「ほ、ほんとうに、わか、分からないん、ですか???」


 綾ちゃんが、ジリジリと私に詰め寄ってくる。

 な、なに??急になんか、雰囲気変わった?


「ど、どーゆー意味?」

「わ、私は、すっごく姫路ちゃんのこと、知ってる、、のに。。。」


 とうとう私のすぐ目の前まで来て、そして俯く綾ちゃん。

 なんなの、この子。こんな子だったっけ?さっきまで3人でいた時は、もっと愛らしい子だったのに。


「ごめんね。もしかして、私ら前にどこかで会ってた??」

「ち、ちがう。………あ、あのね。私、姫路ちゃ、んに。い、言いたいことが、あって」

「私に言いたいこと?」

「そ、そう」


 なんだろ、私に言いたいことって。

 綾ちゃんは「えとえとっ」っとモジモジキョドキョドしながら、何回か深呼吸を繰り返して、そして、落ち着いたと思ったらようやっと今日初めてまともに目が合った。


 そして、口を開く。

















「てめぇボクの狙ってる女をことごとく堕としてんじゃねぇよ」
















 綾ちゃんはそう言って、目にかかるほどの赤味が濃い茶色の前髪を強引にオールバックにした。


「……………へ?」


 な、なんて?

 急になんだか、男前になったんだが。

 思わず私を睨みつける綾ちゃんの目を逸らし、その下、俗に言うおっぱいを見る。

 うん。身長が低いわりには大きい。形もいい。

 しっかりとした女の子だ。


 そして、上を見る。

 相も変わらず睨みつけてくる彼女。


「知ってんだからな?が今、を狙ってるってこと。あの子はボクの幼馴染だ。他の狙ってた可愛い女の子たちがこぞってお前にとられたことも気に食わないけど、あーちゃんだけは絶対に譲らないから!………あーちゃんは将来、ボクと一緒に暮らすんだから!!!」






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思ってたよりも早いのが誤算ですが、星50を超えてたのでタグ整理しました。

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