②
結論から言うと、私と同じ学校の私と同じ学年だったのは、どうやら茶髪の子。だけでは無かった。
そりゃそうだ。あんなに仲良さそうにしてた子たち、同じ学校だとしても疑わない。そう、あの黒髪の子も一緒だったのだ。
まさか私とて、こんなに早く、そして二度目の再会が訪れようとは驚きだった。
事情が事情だから、出来うる限り人気の少ないトイレを選んだつもりだったんだけど、先客がいたことに変わりはない。
例えそれが、件の黒髪の子と茶髪の子だったとしても。
そしてそんな二人と私は今、、、、
―――なぜか校舎裏に向かっていた。
時は数分前に戻る
私とぶつかったせいで茶髪の子に尻もちをつかせてしまった私は、その子に手を差し出した。
彼女を起き上がらせるためだ。
彼女もそれを分かってるから、割と素直に手を握ってくれて、立たせてあげた。
とすると、私と茶髪の子は普通に考えて一時的に手を握り合う形になるわけで。
そこで個室から出てきたもう一人の女の子が、その現場を目撃してしまったのである。
まぁ、その女の子が黒髪の子なんだけど。
黒髪の子は、私の顔を見ては驚いたように目をぱちくりと大きくさせて、次に茶髪の子と私の握りあってる手を見ては少し眉を寄せていた。
この時に、なぜか私は やばい と思ってしまった。
なんの やばい だろうか。
単純に勘違いされてしまうかもしれないという焦りだと思う。
ほら、きっと黒髪の子と茶髪の子は仲良しだから。百合に挟まる男では無いけれど、二人の間に挟まる急に出てきた嫌な女扱いは、されたくない。
少なからずこの子たちは、私を助けてくれようとした私にとってのいい子たちなのだから。
だけど、どうしてだろう?
私は急いで誤解を生まないためにも茶髪の子と繋いでいた手を離したつもりだったのだけれど、黒髪の子は依然として眉を寄せたままだ。
「あの。この前お会いした方、ですよね?」
「う、うん」
彼女の堅い口調に、あの時は何も感じなかったのに。今は少し緊張してしまう。何故だろうか。いや、きっと彼女が不機嫌だからだ。
「そうですよね。まさか、同じ学校だっとは。すみません。あなたのことを知りませんでした」
「え、いやいや。私も今初めて知ったんだし、そんな謝られる事じゃ無いよ」
「………じゃあ、許してくれると?」
「許すもなにも、お互い様でしょ?」
「………そう、ですよね。では、少しお時間頂けますか??」
「うん。………うん?え、今??」
「できれば……」
「あーっ、、と」
どうしよう。まさか下着が濡れてしまってるから処理させてなんて言えないし。
いや、と言うか、トイレに来てまだ私喋ってるだけなんだから、わざわざ処理するとか言わなくても少し待ってもらえば大丈夫かな?
ちょっと拭いたりするだけで、別にこのムラムラをこの場で発散する訳でもあるまいし。
「ちょっとだけ待っててもらっても良いかな?私も漏れそうで」
少し品が無かったかな?
でも、一応変なことをする訳じゃないよってことも踏まえて。一応、ね。
「あぁ、そうですよね!す、すみません。御手洗に来たのだから、普通に考えれば分かることでした。私ったら、自分のことばっかり考えて」
「んーん、気にしないで!じゃあ、ちょっとだけ待ってて」
「わかりました」
黒髪の子はそう言って返事をし、トイレから出て行った。外で待っててくれるのだろう。
私も個室に入る。
ただその時に、気づかなかった。
茶髪の子が、私のことをジーーーーっと、見つめていることに。
そして、色々と処理してトイレを出た私たちは今に至る、という訳だ。
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