第8話
幼馴染視点
あの時の屋上から落ちる友をみて、落下している友を見た時のことを思い出す。
私はあの時より人生で苦しんだ日は無い。
「友!!起きて!!起きてよ!!」
きっと友は人に囲まれて気絶しただけだと思うが、もしこのまま目を覚さないと考えるととても恐ろしく感じる。
「目を覚まして!!お願い!!」
嫌だ、嫌だ!友が居ないと私は何を生きがいにすればいいの??
嫌だよこんなの。
ーーーーーーーーーー
その時は小学校の授業参観の日だった。
私の両親は厳しくて、100点以外を取ると、直ぐに私を叩く人だった。
両親に言われてる、授業中は誰よりも発言し、誰よりも頭が良いところを周りに見せつけろって
「ごめんなさい、お父さん、お母さん」
私はその日、手を挙げることが出来なかった。答えは分かったが、大人達に見られて緊張して挙げることが出来なかった。
「なんで、手を上げなかったの??」
私は、授業から連れ出されて、廊下で両親に怒られている。
「ごめんなさい」
私は涙が出そうだった。
私は私になり努力した。けど今回の問題は、答がわかるかとは別な所にあった。
教室を一瞬だけ見る。みんな普通に、中には両親の顔を見て、嬉しそうにしている人もいる。
「どこ見てるの!!」
パチンと音がなるほど強く叩かれる。
「ごめんなさい。」
「いい、この世は頭が良い人が偉いの、だから頭がいい人にならないと」
「はい」
私は思う。なら、両親は偉いのかと。両親は子どもから見て明らかな普通の収入と、普通の暮らしをしている。普通じゃないのは私に対する扱いだ。この疑問に私は親に不満を感じる。
「ねぇ、三奈ちゃんはいつも満点とって手を上げてるよ」
「夏季??」
「アンタだれなの?」
「俺、夏季。いまトイレに行こうと思って。それより、お母さん。三奈ちゃんはいつも手を上げているよ。今日はきっと緊張してたんだよ」
「えっ」
思いもよらない言葉にビックリする。
「きっと、三奈ちゃんは答えもわかってたけど、思うに、恥ずかしくて手を挙げられなかったの」
「・・・それが何??結局は頭が良いことを示さないと意味がないわ」
「そうかもね。頭が良くても周りの人が知らないと意味ないもんね。でも」
「でも何?」
「人を叩くのは一番頭が悪いと思うよ」
「ぷっ、」
私は思わず、笑ってしまう。この夏季の正論と
あまり関わりのない両親に対してここまで言う空気の読めなさに。
「アンタ、分かったようなことを言うのね」
「お母さんが言ってたから」
「へぇ!ならそのお母さんに挨拶に行くわ」
「お母さんはもう居ないよ。」
「えっ??」
私は知っていた。
「俺のお母さんね。弁護士でね。どんなことでも人に暴力を振るう人は馬鹿だって言ってた」
お母さんより圧倒的に偉い人の意見に意表をつかれる母の姿に私は笑える。
「あっ、トイレに行かないと」
そして、夏季くんはトイレに行った。
それからだった。私は両親に逆らうようになり、夏季と関わるようになったのは。
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