エピローグ

おちる *夕奈*

*夕奈*


 ずっとあーちゃんのことが好きだった。


 いつから?


 そんなのわかんない。


 気づいたら、だよ。


 恋に落ちるのに理由なんてないでしょ。


 あったとしても、後づけ。


 顔がいいとか、性格がいいとか。


 あーちゃんの好きなところを挙げればきりがない。


 いつあーちゃんが私のことを好きだって気づいたか?


 それもわかんない。


 覚えてない。


 なんとなく、メンバーとして好きなんじゃなくて、恋愛対象として好きなんだなーとは勘づいてた。


 勘は鋭い方なんだよ。


 けれど、告白するタイミングはなかった。


 恵麻姉のことがあったし。


 ドタバタしてたし。


 なにより、あのタイミングで告白したところで「今は付き合うべきじゃない」って断られるに決まってる。


 でね、ある日思いついたの。


 子どもをつくっちゃえば逃げられないんじゃないかって。


 あーちゃんとの子どもがほしいなって。


 無理なんだけど。


 同性同士だもん。


 だから、私のことを好きな幼馴染と寝た。


 一ミリも好きじゃなかったけど、口が堅くて信頼できるのはアイツしかいなかったの。


 何回かカラダを重ねるうちにね、漸く赤ちゃんができた!


 病院に行って妊娠が確定したときは、空を飛べそうなぐらい嬉しかった。


 すぐにでもあーちゃんに話したかった。


 でも、彼女には夢がある。


 女優になるっていう大きな夢。


 目標と私を天秤にかけたとき、どちらが勝つか。


 私はわかっていた。


 ずっと傍にいたから。


 彼女が拒否できないことを。


 両想いに勝てるものなんてないでしょ。


 ママになりたかったのは本当。


 それ以上に、私はあーちゃんが欲しかった。


 そのためにえがいたシナリオ。


 死ぬまで隠し通す。


 これからよろしくね。


 私が書いたシナリオ通りに動いてくれたあーちゃん。


 貴女はきっと、立派な女優になれるよ。


**

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