3-2
*****
「はっはっはっ! いやー、とんだ早とちりをしてすまなかった!」
「いえ、気にしないでください」
男女が一つ屋根の下で暮らしていれば、
村長は白髪交じりの頭を
「ネロ、帰ってきて早々に悪いんだが、
「畑ぇ? どうせまた熊が下りてきたんだろ? 一発
動物が食べ物を求めて人里に下りてくることは少なくない。しかし、村長は静かに首を横に振った。
「
「あ?」
「えーっと、つまり村長さんは野菜がなくなったのを人の仕業だと思っているんですか?」
首を傾げているネロの代わりにロゼリアが
「もしかして、その野菜
「ああ、そうだ。男達で夜に見回りをするつもりなんだが、人手が足りない。それにほら、お前さんは
村長が拝むように両手を合わせた。それをジト目で見つめていたネロは、短く答える。
「やだ」
しんっと室内が静まり返った。村長が
「そこをなんとか頼むっ! このとぉーり!」
「やぁーだよ。人のいざこざに巻き込まれたくねぇし。ロゼリア、帰るぞ~」
そう言って
「ちょっと、ネロ! これからお世話になるんだから、相談に乗ってあげてもいいんじゃないの!?」
「それとこれとは話が別だ。ようは人間の縄張り争いだろ? オレはそういうのに興味はねぇよ」
まさかの返答にロゼリアは
(協調性なしか、コイツは~~~~~~~~~っ!)
神のくせに、なんて
これ以上話を聞くつもりはないと言わんばかりに、ネロはつーんと顔を
「仕方ねぇな」
そう言って一度部屋から出て行くと、何かを持って
「おい、ネロ。見事野菜泥棒を捕まえた
「あ? なんだそれ?」
ケインが無言で瓶の
「お前が
「やる、任せろ!」
買収に成功し、ケインが「よしっ!」と
「とっとと野菜を
「
そうしてケインの家を出た後、ロゼリアはネロが村に
室内を軽く
「さーて、野菜泥棒を捕まえる為に
よほど蜂蜜が好きなのか、いつ来るかも分からない野菜泥棒を今から捕まえる気でいるらしい。確かにネロの手にかかれば他愛もなく捕まえられると思うが、気が早いことだ。
とはいえ……。
「野菜泥棒を捕まえるのになんで魔力がいるのよ?」
「実はオレには、五つの権能が備わっている」
「五つも……?」
てっきりロゼリアは、ネロにはおおまかに瘴気を使う力と
「そう。人間が
「無から有を生み出す? 何それ?」
「人間からしたら魔法に変わる力なんだが、今のオレはこの力を浄化の力以上には使えない。せいぜい物を浮かすか、風を生むか、小さな火種を作れるくらいだ」
それはいささか弱体化し過ぎではなかろうか。いや、
「なるほど。それで、浄化の力同様に魔力がいるわけね?」
「そういうことだ。つーわけで、魔力くれ」
まるでお
「ネロ? 本当は瘴気を浄化する為の魔力なんだからね? 分かってる?」
「分かってるって。ほら、手」
「しょうがないわねぇ……」
ロゼリアがやれやれと彼の手を取った
「え……?」
「え、ちょ、何これ!? 待ってネロ!」
半分パニックになって
「悪い。調子に乗って一気に魔力を取り過ぎたわ。まあ、命に別状はねぇから気にすんな!」
「ど、どれだけ取ったのよ!? しかも、まだ取ってるでしょ!?」
「大丈夫、大丈夫。まあ、今夜はさすがに動けないだろうけど」
彼の顔は見えないが、きっとあの人懐っこい
「あとで飯も食べさせてやるし、ちゃんとベッドまで運んでやるから、そのままじっとしてな」
べちべちと頭を叩かれたロゼリアは、ふつふつと
「それじゃ、
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