捨てられ悪役令嬢、邪神に拾われる。
すずきこふる/ビーズログ文庫
一章 捨てられ悪役令嬢、邪神に拾われる。
1-1
(もう~! どうしてこうなってしまったの!? それもこれも全部バカヒロインのせいよ!)
元
頭上では
(ああっ! 私がもっと早く前世の
今思えば、ロゼリアは実に運が悪かった。それはもう天性のものと言っていい。公爵家の生まれで、強い
そして、荷馬車に乗せられた子牛のような
「いたぞ!」
盗賊に殺される
「きゃあっ!」
ぬかるみに足を
「そこまでだ」
首筋に冷たいものが当てられ、ロゼリアは動きを止める。
「
「くっ……」
髪を無造作に
「かわいそうにな、こんな若いのに命を狙われるなんて」
「いやっ! 放して!」
「その前にちょっと楽しませてもらおうか? 何、どうせ死人に口なしだ。
男の
「お、おいっ! あれはなんだ……?」
すぐそばで男が息を
目の前には、まるで真っ黒なインクを落としたような光景が広がっていた。ゆっくりと
男はハッとした様子で声を上げる。
「
(瘴気!? あれが!)
この国では瘴気と呼ばれる黒い
近づいてくる瘴気の中に、ゆらりと
「あ……あれは……」
男もそれを見たのだろう。瘴気に
「ん? なんだお前ら?」
聞こえてきたのは、やけに明るい男の声。瘴気の中から現れたのは、一人の青年だった。
彼は
「まあ、いっか。用があるのは、その女だけだし。お前らはどっか行っていいぞ」
「こ、この! ふざけやがって!
盗賊達が武器を抜いて、
「ひぃいっ!」
盗賊達が恐怖から武器を手放すと、刃はみるみる
「なんだ、動けなくなったのか? なら、瘴気の
彼が指をひょいっと上に向けると、盗賊達の身体が
「
まるで遠くにボールを投げるように、青年は天に向かって大きく振りかぶった。
盗賊達の身体は空高く飛んでいき、頭上を
「やべ、打ち上げ過ぎたわ……まぁ、あの角度なら湖に落ちるだろ」
(た、助かったの……!?)
正直、何が起こったのかロゼリアは分からなかった。
「おーい。お前、
そう呼びかけながら、青年がやってくる。
何はともあれ、ロゼリアはこの青年に助けられたのだろう。何者だろうと、礼くらいは言うべきだ。
「あ、ありが―― ……っ!」
近くに来た青年の顔を見て、ロゼリアは言いかけた言葉を止めた。
「ん? どうした?」
しゃがんでロゼリアの顔を覗き込んだ青年は、ひどく整った顔立ちをしている。が、ロゼリアが驚いたのはそこではない。
「あ、
ロゼリアがそう
「オレはネロ。神様だぞ?」
その言葉を聞いて、ロゼリアは絶句する。
(ネロっ!? ネロって『
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