写ルンですか?
記念写メ 撮ろうと浮かぶ 顔認証 あらぬところを 狙ってばかり
四月下旬、たまたまお参りした大阪府内のとある神社の藤棚が見事に開花していた。
幼少期にはよく参拝した、ある意味馴染みのあるお社なのだが、大人になってからは年に一度か二度、訪れられたら御の字という間隔でお参りしている場所だ。
私自身あまり写メを撮るタイプの人間では無いのだが、藤棚と参道入り口の狛犬(向かって左の口を閉じた吽形が狛犬、右側の口を開いた阿形が獅子という一応の区別がある)のドヤ顔が可愛くて、ついスマホのカメラ機能を立ち上げた。
ピントを狛犬に合わせて藤棚を背景に、いざ写メろうとするのだが、画面左寄りやや中央、灯籠が等間隔に並ぶ藤棚の下、枝葉に覆われた薄暗い石垣の辺りをしきりと顔認証し始めるスマホ画面。
画面を少しアップにして狛犬を画角中央に据えると、もちろん狛犬の顔を認証するのだが、そこからピントが外れないように少しずつピンチアウトして画面を引き、藤棚を画角に収めるとやっぱり藤棚の下、薄暗い石垣のあたりにもう一つ顔認証が反応する。
肉眼でも画面越しでも、私の目にはただ藤棚と石垣と等間隔の灯籠があるだけだ。
何度引き直しても同じところで顔認証が入るので、仕方なくそのまま写メる。撮った画像をどれだけピンチインしても、やっぱり私の目にはただ薄暗い鬱蒼とした石垣があるだけだ。
一体スマホカメラはどの辺りを
あるある。
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