世界は俺たちが救う・・・かも。

@kumaGG

第1話 ダンジョンに二年

  ここにたどり着くまで二年かかった、地下三階のボス部屋、頭一つ以上大きいボスのコボルトキングを取り巻くコボルト戦士たち。



「俺は先にコボルト戦士を倒すからキング頼めるか?」


「良いですよ」


「 任せろと右目が言っている」


「・・・」


 コボルト戦士は五匹いるが一匹倒すと残りが倒した相手に来る、右側から倒す、相手も剣を持っているが俺はどこを攻撃すれば葬れるか初めから知っている様に剣がその通り動く。


 コポルト戦士の剣が右から来た、後ろに下がって躱し、前に出て右手に持った剣でコボルト戦士を刺す、次のコボルト戦士が左から来た、躱して刺す、次のコボルト戦士は右から来た攻撃を剣でいなして、そのまま体の前に進み切り付けた。


 攻撃がゆっくりに見え、急所も分かる、剣を振ればコボルト戦士に当たる。


 コボルト戦士との闘いは終わった、戦闘開始からまだ一分も経っていない。


 次はコボルトキングだ。


「雑魚は終わった、交代だ」


 前衛の位置を開けてもらった、それでは始めますか。


 コボルトキングの攻撃を受けて少し跳ね飛ばされた、まだ想定内だ、横からコボルトキングにゴンが攻撃したのでコボルトキングはゴンにヘイトが向いた。


 この隙に剣で一撃したが手応えは無い、この剣は駄目だ、剣を交換して再度攻撃したがやはりダメージは無しか。


 もう一度剣を交換して攻撃したが今日は駄目だった。


「もう良いぞ」


「右目がうずく、《爆炎》」バースが魔法が当たって、コボルトキングが後ずさった。


「勇気100倍」とレイがゴンの剣にバフを掛ける。


「・・・・」


 光輝く剣を持ったゴンがキングコボルトに切り付けた、一刀両断されコボルトキングは消え魔石が残った。


 ボス部屋の奥に行くと下へ続く階段が有る、これで地下三階階を制覇した。


 本当の戦いはこれからだ、地上まで帰れるかが生死を分ける、俺たちが帰る時は俺以外戦わない。


 次から次へとコボルト戦士・コボルトが襲ってくるがすべて一撃で俺が葬り去る。


 後を付いて来る者達は魔石と落下アイテムを拾っている、たまに横道から現れたコボルトと戦うのはゴンの役目だ。


「ゴン、右から来てると右目が言ってる」と魔法使いのバースが言うと剣を構えてコボルトを処理する。


「帰りは拾うだけ」と言いながらレイは魔石とアイテムを拾って自分のアイテムボックスに入れている。

 

 俺たち4人はダストの街の探索者だ、同年代は今年から学園に通う12歳だが俺たちはダンジョンに入るしかない、もしかしたら死ぬまでダンジョンに入り続けるかも知れない。


 この国は10歳になると神の祝福を受けダンジョンに入らなければならない。


 自分のレベルがMaxになったらダンジョンから卒業して12歳から学園に行く、これがこの国の決まりだ。


 どうして俺たちがまだダンジョンに入っているのか、それはレベルがMAXにならないからだ。


 毎日休まずにダンジョンに入ってもレベルが上がらない、一人は別の理由だ。


 ダンジョンの地下一階・地下二階まではスライムとゴブリン・ゴブリン戦士しか出て来ない。


 能力ランクがE・D・Cは2年あればレベルMAXまで普通に週六日ダンジョンに入れば到達できる。


 一人でも一階は余裕なので地下一階で地下二階に行けるまでレベルを上げてから地下二階に行って最後のレベル上げをする。


 地下三階には行く者もいるがケガが多くなるので基本ダンジョンで生活する者以外は行かない。


 俺らの年には能力ランクSが三人・Aは0人・Bは2人でC以下大勢になっていた。


 俺らは元々別のパーテーに居たが同期の残り者でレベルMax未達者だ。


 12歳になるとレベルMaxは学園に行き、俺たちレベルMaxにならない者は実家にも帰れず、住む所もダンジョンを囲む壁の中からレベルMaxになるまで出られない。


 Sは最初からダンジョンへの入口も住んでいる所も別で一般の出入り口で出ようとすると脱走とみなされもっと厳しいダンジョンへ送られる。


 一か月に一定量の魔石の納入が義務化されている、魔石の未納が続くとどこかに連れて行かれるそうだ。


 連れて行かれると二度とここへは戻って来ない、噂では別のもっと危険なダンジョンへ連れて行かれ強制的に入らされるという話がある。


 ここにも昔、ダンジョン内の地下四階へ連れて行かれ放置された者がいるらしい、レベル上げをせずにそんなところへ連れて行かれたら生きては戻って来れない。


 ケガをした場合は回復魔法で治してもらえる、重傷で無い限り次の日もダンジョンに入る。


 こんなダンジョンがこの街でも数か所あり、ダンジョンが成長しない様に地下1階地下2階までの魔物を討伐して魔石を回収している。


 ダンジョンが成長するには魔力が必要でダンジョンが魔物を作ると当然魔力が消費される、過去の経験から集中的に地下1階地下2階の魔物を討伐して魔石を回収すると魔物がダンジョンから溢れないというが学説があり、学園に通う前の10歳に成ったら強制的にダンジョ入りが義務化となった。


 実際はレベルをMAXまで上げれば良いと言う事になっている、能力レベルEの者は最短で2か月という記録がある。あとは12歳になるまで長い休みだ、俺達に休みは無い。



「お前ら今日もダンジョンか、少しおじさん達の今月分の魔石が足りないから融通してくれ」 ダンジョンから出たら絡まれた。


 俺らがS 級で弱い事を知っている、チンピラが寄って来た、自分たちがやられた事をやり返しているだけと本人達は言っている。


「おじさん達、内にはC級のエースが一人居るが、大丈夫かな?」


 相手はC級と聞いて胸元のタグを確認している。


「何でC級が居るんだ、二年たっても終わらない奴か」


「ゴン 力を見せたやれ」


 その辺にあった石をバキンと二つにした。


「おじさん達、まだ何かある」


「そのC級が居ないくなったら覚えてろ」 


 後ろも見ないで逃げて行った、残っていた者達も、もうすぐ居なくなる季節だ。


 ゴンはきっとずっと一緒だと思いますよ、ゴンは本当はもうA級になっているはずだ。


 ゴンには能力検査場へ行くなと言ってる、A級のタグに成ると舐められるから。


「ゴンがA級になっても問題ないが、うるさいハエを追い払えなくる、ゴンは人と戦いたくないよな」


「・・・・・」


「どうせCでもAでもレベルMaxになるまでここから出られないからな」


「私達はレベルMaxにならなくても、ここから出られる方法に挑戦するんですよね」とレイが聞いて来たが何回も話した話だ。


「俺はその予定だ」


 居住スペースに帰って来たが同期にはA級がいない、B級は二人いるが昨年のB級の先輩たちとダンジョンに入っていて、ここには帰ってこない。


 B級の二人はB級の代々のやり方でダンジョンに入っている、B級は各ダンジョンで毎年一人か二人で町全体でも少ない、B級は普通に攻略して一人で地下二階か地下三階までだとレベルMaxになるのに5年以上かかるが二人で地下四階に行ければ4年で済む、四人のパーティーで地下5階以下に行ければ3年以内で終わる。


 今年のB級と前年のB級がパーティーを組んでダンジョンに入ると二年以内でレベルMaxになる事もある。前々年の人が今年はまだいるがもう少しでここから出て行くだろう。


 能力値Bはこの町の上層部の人間となる者達だ、能力値Aはここを出るのに平均40年かかる、ぼぼダンジョンでレベル上げのために亡くなるか、生活するために地下三階までしか行かないで魔石を取って暮らす者達に分かれる。


 A級もここを出れた人は極少数だ、出た時には町に適応出来なく、浦島太郎になってしまう。


 我々のS 級はここを出た者は過去に居ない、別の町のダンジョンに居たという情報しかない。


 S級がこの塀の中の隔離施設を出る方法はこのダンジョンを踏破してダンジョン踏破者と成る事しか無い、S級にレベル上限は無いと言われてるからだ。


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