デモステネスの演説

 デモステネスの演説は似たようなことを長々と繰り返しているので最初だけ引用します。



 それならば、正常に頭をはたらかせる限りにおいて、諸君のなすべきことは何なのか、それはこれらの事情をよく認識して、これまでの行き過ぎた、致命的な投げやりの態度を一擲して、献金を行い。同盟諸国にもこれを求め、既成のかの軍隊を引きつづき駐留できるように計らうと共に、かれピリッポスが侵略を行ない、全ギリシアを奴隷化するための軍隊を用意しているなら、こちらもこれに応じて、ギリシアのすべての国を助けて、これを保全するための軍勢を用意するように行動しなければならないのです。



 要するにマケドニアの奴隷にならないようにしようと演説しています。

 解説です。


 デモステネス(B.C.384~B.C.322年)は、アテネの裕福な商人の家に生まれた。相続争いが機となって雄弁術を学んだといわれ、イソクラテスと並ぶギリシア末期の雄弁家のひとり。

 デモステネスは、熱烈な愛国者として知られるが、その立場は、マケドニアに対抗して、アテネを中心にポリスの結束を主張した。B.C.4世紀といえば、ギリシア本土は、スパルタ・テーベ・アテネと目まぐるしく覇権が交代した時代である。しかし、前世紀のアテネのような強力なリーダーシップはすでに失われ、北方のマケドニアの台頭によって、ギリシア本土には危機感がみなぎっていた。フィリッポスの巧妙な外交手腕は、アテネ市内にもフィリッポス派を生み、デモステネスは、これらの一派を極刑に処すべきことを主張した。


 このあたり、マンガ『ヒストリエ』に出てきます。



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