ギリシアの奴隷制度

  まず、アテネの奴隷について



 アテネの奴隷と在留外人はたいそう横柄であって、そこでは君は彼らを打つことができず、また奴隷は君に道を譲ることもしない。なぜこんなことが国中の習慣になったのかを私は明らかにしたい。奴隷や在留外人や被解放者は自由人に打たれても仕方ないことになっているなら、君はしばしばアテネ人を奴隷とまちがえて打つことになるだろう。なぜならアテネでは民衆は奴隷や在留外人よりも立派な衣装を着けているわけでもなければ、また立派な風貌をしているわけでもない。またもしアテネでは奴隷を贅沢に暮らさせたり華美にさせたりしていると驚く人があれば、そういうことをさせておくのにも理由があることは明白である。なぜなら、海軍力のあるところでは、報酬として納金を手に入れるために働くことは奴隷にとって必要であり、また彼らに自由を与えることはお金のために必要だからである。そして裕福な奴隷がいるところでは、わたしの奴隷はもはや君を恐れはしなくなるであろう。ラケダイモンでは、わたしの奴隷は君を恐れるであろう。しかし君の奴隷がもしわたしを恐れるならば、彼自身が危険な状態にないようにするために、彼の金銭を与える事も彼は辞さないであろう。それ故にわれわれは、奴隷を自由人と、メトイコイ(在留外人)を市民と、平等にしたのである。なぜならポリスは、多くのさまざまな技術と海軍のためにメトイコイを必要としているのだから。



 解説です。


 ギリシアの奴隷制度は一様ではない。スパルタの奴隷とアテネの奴隷はかなり異なっており、スパルタのヘロットは農奴に近い性格をもっていたようで、いわば国有の奴隷と考えられる。アテネでは、奴隷と市民がさほど変わらぬ姿だし、同じ仕事をした場合、報酬は同じように与えられる。

 もちろん、自由人と奴隷は厳然と区別されていた。奴隷制への疑問を持った人びともないではなかったが、ギリシアの民主政治や社会生活・文化創造の上からいって、奴隷制は不可欠であったから、奴隷制は空気や水と同じように必要だったのである。


 この資料集に掲載されているのは、こんな感じです。これだけ読んでも奴隷制のことはよくわからないですね。昔、使っていた世界史の参考書を読んだら、奴隷を派遣する奴隷の賃貸業などもあったらしいです。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る