ナイル讃歌


 引用ばかりになるのは困りますが「ナイル讃歌」は高校生の時、何度も読み返した、この世界史資料という本の中でも、1番親しみを持っている部分なので長くなりますが引用します。



 おお神ハピ(ナイル河)よ、この国土より現れ出てエジプトを生かすために来たる汝! その水流は秘められて、日中の暗闇(の如く)、その信徒かれに和して歌う。そは神ラーの創造(つくり)給いし田畑に水灌ぐもの、なべての仔羊を育てんために。そは水から程遠きところの砂漠に飲むものを与えるなり。天空より降りしは彼の露なり。ゲブGeb(大地の神)の愛人、ネプラNepra((穀物の神)を導くものにして、神プタハのたくみ(技巧)の推進者!

 魚の主よ。水鳥を上流にさかのぼらしめるもの(よ)。熱風のゆえに落ちる鳥はなし。宮々をして祭祀を行わしめんため、大麦をつくり小麦を創りし彼。

 彼もしちからなけ(不活発な)れば鼻孔塞がりて、すべての人びと貧しかるべし。神々の食物減ることあれば、幾百万の人びとの滅びることあるべし。

 彼もし無慈悲なれば、全土恐れおののき、おのおのの地区に大小の人びとの嘆きあらん。かれ(ナイル河)の訪れによって人間は交わり、神クヌムKhnumは(毎年)ハピをつくるなり。彼起る(増水する)ときは、国土よろこびに溢れ、人おのおの悦びに充ち、すべての顎(あぎと)笑いはじめ、歯はことごとくあらわれん。

 食物をもち来たすもの、かて(糧食)に富める者、良きことすべてを創るもの! 尊ぶべきもの、かぐわしきもの、仁慈深きもの、彼来るときには。家畜のために牧草生やしめ、ことごとくの神に犠牲を与うるもの。たとえ冥界にあれ、はたまた大地にあるものといえども、彼の権威の下にあらん。ふたつの国(上下エジプト、全国)を所有し、庫(くら)を充たし、穀倉を拡げ、貧者に物を施す彼。



 杉 勇氏訳です。

 引用しなければ、伝わらないものがあるし、こういう資料を伝えるための資料集だと思うのです。しかし、書き写すのは気力がいりますね。この先、目ぼしい資料が目白押しだけどどうしたものか?

 特にナイル川の増水による恵みについては説明はいらないと思います。

 もともと関心を持ったきっかけは前にも書いた『王家の紋章』を読んだことです。途中で読むのを止めてしまったけど、まだ続いてるかな? 久しぶりに読み返したくなりました。



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