わたしのミカエル

なきゃないで、いなきゃいないで

どうにかなるしなんとかなるのよ

人間社会とはそういう風にできているの


確かにしばらくは混乱するんだけど

一、二週間もすれば落ち着いていくの

人間の順応性・適応力・臨機応変さを侮るなかれ

世界とはそういう風にできているの


とか言うとブロックされちゃうわけでしょ

または“いない間に何かあったらどうするんだ”

えっ、僕らの今って運だけで成り立ってるの

自分たちの力で前進することはできないの

みたいなことを言っても言わずもがな


それほどまでの崇拝はなぜ?

あるいは、何かを敬いたい、

という気持ちが人間にはあるのだろう

信じたいものを信じられるのは、幸せなことだ


なんだかんだ“神”は便利だ

目に見えないからこそ、支持そのものが議論になる

そして信じたい人は信じたいように信じられる

どこまでも、いつまでも


でもはっきり見えるものは危うい

“いる”からこそ、ダメになった時、

ダメになる

そして“信じたことによる自分の責任”が発生する

でも、その追及はしない


目に見えるからこそ、“それ”が全部悪いんだと

自分の責任を全部放棄する、転嫁する

それが芸能人でも政治家でもアニメキャラでもなんでも、

“信じすぎた”ことによる失敗の、自分の責任は追及しない


神は便利

その責任が発生しないから


この国には神がいない

少なくともそういう風に思われている

だからみんな神に似たものを求めてる

神に似たものは誰だ、と、探している


人間には絶対的な存在が要る

人間は不安で不安定だから

あるいはそれで宗教が生まれる

でも“それ”がミカエルなのは危うい


信じたいものを信じたいように信じて

それが失敗しても自分の責任は追及しない

いつまでも無邪気で無責任でいられる

でも、それって僕らにぴったりなのかな?


いつかあなたも気づくだろう

いつかあなたも“がっかり”するのだ

でもそれはそれでそれとして別の何かをまた追い求める

それが芸能人でも政治家でもアニメキャラでもなんでも、

“信じすぎた”ことによる失敗の、自分の責任は追及しない


それほどまでの退廃はなぜ?

あるいは、何かを尊びたい、

という気持ちが人間にはあるのだろう

信じたいものを信じられるのは、幸せなことだ

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