第3話   一夜の幸福

海から帰って来た四人は、旅館の温泉で海水浴で遊んだ汗を流した。



「いやー、いーい湯だった! アハハン!」

旅館の温泉から出てきた蒼はかなりご機嫌だ。


『もうっ! オヤジ臭いわねーっ!』

その蒼の様子に対して、菜々は白い目で見ている。。。


九郎と翠は二人の様子を楽しそうに見ていた。

蒼と菜々のボケとツッコミに対して、観客的ないつものポジションだ。



部屋の主室がにぎやかになったトコロで、

入口の扉をコンコンと叩く音が聞こえた。

「夕食の準備が出来ました。運んでもよろしいでしょうか?」


どうやらお待ちかねの時間の様だ。


主室の檜作りの長テーブルの上に、ドンドンと料理が運ばれてくる。

メインは真鯛のしゃぶしゃぶ鍋で

小物は鰻の蒲焼、イカの酢の物などかなり豪華だ!


        「『いただきまーーーす』」


二十歳の四人は夢中で料理を胃袋に詰め込んでいったのだった。。。




・・・数時間後



「部屋も一緒だし、オレは今日決めるつもりだ!」

蒼は真剣な表情で呟いた。


『そうか・・・だけどオマエは童貞だし、焦って失敗するなよ。』

九郎は冷静に返す。


「お、お前も童貞だろ? 何なんだヨ! その余裕は!?」

キョドる蒼に対して、

九郎はいつも通り冷静で物静かだった。



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「九郎と同じ部屋だし、今日決めるわ!」

一方、こちらでも菜々の鼻息は荒かった。。。


『そう・・・ でも貴女は初めてなんだから、失敗しないようにね。』

焦り気味の菜々に対して、翠が冷静に返す。


「何でいつもそんなに冷静なのよ! あ、あなたも初めてででででしょ!!」

興奮気味な菜々に、

微笑ましいモノを見るように、翠は優しい笑みを浮かべるのだった。




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その夜、

四人の大学生の男女は

無事に大人への一歩を踏み出した。


人生の中でも・・・一つの幸福の頂点を通過したのだった。







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