第32夜

「人の顔色を窺う」「自分の意見を封じる」「周囲の理想を演じる」

この3つは、自分でも無意識にしている。

気をつけてはいるけれど、未だに抜けない。


親の顔を窺い続けて38年。

家を出たのは17だけど、結局縁を切るまではずっと縛られてたな。

過去2回の結婚も、3つのトラウマが作用して自分の意思とは言えなかった。

今考えても、何故結婚までしたのか自分でも解らない。


母親とも妹とも絶縁して3年。

やっと自分の意思を出せるようになってきた。

無意識に封じてしまうのも、自分で気付けるようになってきた。


自分の意思で、死んでも一緒にいたいと思う人に気が付いたからかな。

そのきっかけをくれたのは、大事な人。

ウチが抑えようとしてた気持ちを、引っ張りだしてくれた。

あの時、認めるのがとても怖かった。

関係性が変わってしまったら、思っていたのと違ったと思われてしまうんじゃないか…そんな風に考えてしまって。

大事な人には「俺は他の人と違うんで」って言われたし、大事な人とウチを知る共通の人にも「○○さんは○○さん!全然別だよ!」って言われて。

やっとちゃんと自分の気持ちを認められた。

認めたら、好き!って溢れちゃって自分でもびっくりしたけど。

会いたい!ってだけで、会いに行くとか。

ホント、自分でも重いのでは?って今更ながら心配になってきた。

大事な人は、「いいんじゃない?」って言うけど。明確な答えは聞いたことないな。

でも、いいんだ。

毎日、寝落ち通話してくれて。

連絡、返してくれて。

好きな歌を教えてくれて。

一緒にネトフリ見て。

会いに行った時に、迎えに来てくれて。

手を繋いでくれて。

笑ってくれる。

初めてリアルで会ってから半年経つのに、

未だに夢なんじゃないかと思う日がある。

貰ったモノを見る度に、夢じゃないんだなぁと認識する。

トラウマは根強くあるけれど、最近はそれが少しずつ解けていっている気がする。

上手く、説明が出来ないけれど。

ちゃんと、説明が出来たらいいんだけどな。

大事な人に、「好き」と「大好き」と。

もうひとつは、会った時に言おう。

顔見て、言いたいから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る