第23話 二度目の追放! だけど今回は大事なものも一緒に……

「なっ……そんな……待ってくれよ」


俺は膝から崩れ落ちた。


「待ってよ。バルバトス!」


ルリは必死に訴えている。


「ルリ、すまない」


バルバトスは申し訳なさそうにルリに謝る。


「なら私もクビにして!ジェイドと一緒に行きたい!」


ルリが叫んだ。


「ダメだ」

「なんでよ」


ルリは涙目で訴える。


「ルリはジェイドが好きなんだろ?」

「うん……」


ルリは小さく返事をした。


「え?」


ルリは俺のことを……


俺はルリの顔を見た。

ルリは俺の目を見て微笑んだ。


「ジェイドのこと好きだよ」


ルリはハッキリと言った。


「だから、私はジェイドについて行く」

「そうか。なら仕方がない」


バルバトスはため息をついた。


「いいのかよ!」


ツネナリが吠えた。


「どうしようもないだろ」


バルバトスはツネナリの方を向いた。


「ルリ。俺のことは忘れて幸せになれよ」


バルバトスはルリの目を真っ直ぐ見た。


「うん。バルバトスこそ、私のことを忘れないでね」


二人は見つめ合った。


「ああ、約束する」

「おい! 待てよ! 勝手に話を進めるな! 俺は認めねぇ!」


ツネナリは怒り心頭のようだ。


「ツネナリ。お前にはもう関係ないことだ」

「ふざけんな!」


俺はツネナリが睨んで来るのを無視して、その場を去った。


「待ってよ! ジェイド!」

「ついて来んな」


俺は振り返らずに言う。


「嫌だよ。一緒に居させて」


俺は立ち止まった。


「俺はギルドの掟を破ったんだぞ」

「うぅ……」


ルリは下を向いてしまった。


「ねぇ、ジェイド。お願い」

「俺と一緒だと、幸せになれるか分からないぞ?」

「それでも、いいの」


俺は少し考えた。


「分かった」

「やったー!」


ルリは嬉しそうだ。


「ただし条件がある」

「なぁに?」

「ルリは、これから先ずっと俺と一緒でも後悔するなよ」

「もちろん!」

ルリは満面の笑顔だった。

俺はそれを見たら、胸が熱くなった。


「よし、行こう!」

「うん!」


俺とルリは、この旅に出た。

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