第19話 『側にいるだけでVer2』のフレーバーテキスト

ファクトが降り下ろした鍬は、ツネナリの両手で受け止められていた。


「うううう!」


涙目で、農民の馬鹿力を堪えている。


「お前達を生かして帰す訳には行かない!」


ファクトはツネナリを見下ろす。


「大丈夫だ! お前のことは誰にも言わないから助けてくれ!」


ツネナリは無様に泣いている。

ざまあみろだ。

鍬の先端が、ツネナリの心臓の近くまで来ている。

一生懸命両手で鍬の柄を掴んで、自らの命を守っている。


「ダメだ。お前らは生かして帰すと、絶対俺のことをばらす」

「本当だって!神に誓う!お前のことは黙って送って!」

「嘘つけ!」


ファクトは怒りにまかせて、力を込めた。


「ぎゃあ!」


鍬の先端が左胸にめり込み始めた。

血が吹き出す。


「俺はな、ずっと我慢してきたんだ!少ない農作物を税金としてほとんど王族に持っていかれる!俺が大事に育てたものを、あいつら!」


ファクトは涙を流しながら、ツネナリの身体に鍬を突き刺していく。


「ぐわあ!」

「痛いか? でもな、もっと苦しい思いをした人が沢山いるんだ!」

「ひぃ!」

「死ね!」


(まずいな……)


俺はこの状況を非常にやばいと思った。

なぜなら、このままツネナリが死ねば、次は俺が狙われるだろう。

そうなった場合、ツネナリより弱い俺は簡単に殺される。

それにツネナリは俺の支援を受けている。

なのに、ファクトに負けている。

厳しい……


『側にいるだけで』をもう一度発動させるか……


だが、それでツネナリが勝てるとは思えない。


(ふぅ……。ん? そういえば……)


俺はステータスを開く。


『側にいるだけでVer2』??


何だこれ???

そういえばさっきレベルアップした。

新しいスキルか?

名前から、『側にいるだけで』の強化版に見えるが……


詳細を見てみるか。


<『側にいるだけで Ver2』は、自己を支援する。消費する精神力は10>

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