第17話 ギルド間での引き抜きは、ちゃんと話を通してからやろう!

その頃、『月光隊』ではーー


「なかなか、良いステータスだな」


レベル:21

職業:剣士

名前:ユミ・インフォネッツ

種族:人間

年齢:18歳

体力:500(最大500)

精神力:720(最大720)

攻撃力:318

素早さ:804

スキル:百連刺突

    抜刀切り

    袈裟十字切り

    水平チョップ

    垂直チョップ

    連続攻撃

    ダッシュ突き

    バックステップ


「だろ? ギリト」


バジウスは笑った。


「ああ。スキルが多いのがいいな」


だが……

と、ギリトは目の前の女剣士を見てこう言った。


「まだ、前のギルドを辞めてないんだろ?大丈夫か?」

「ああ、その点は問題ない。な、ユミ」


と、バジウスはユミに話を振る。


「ええ。今いるギルドとは円満に縁を切るつもりよ」


と、痩身の女剣士は微笑んだ。

切れ長の目が細くなる。


「なら、いいんだがね」


ギリトはそれでも、安心出来ない。


「ギリト、引き抜きに躊躇してちゃ、ギルドの運営なんて出来ないぜ」


バジウスがギリトの目を見て、優しく言う。

ギルドの間でメンバーの引き抜きは日常茶飯事だ。


「ユミはクエスト斡旋所にいた。ユミが俺の方を見てきたから、俺は気になって声を掛けた。今のギルドの待遇に不満があるから雇ってくださいってな」


「そうよ」


「理由は」


ギリトは問い掛ける。


「今のギルドはつまらない。私は実力があるのに簡単な仕事ばかり。それに報酬も少ない」


「ふーん」


「これから大きくなるギルドで力を試したいのよ」


ユミは熱っぽく夢を語った。

良い待遇を求めてギルド間を渡り歩くものもいれば、ジェイドのようにクビになるものもいる。


「俺が持ってきた王族がらみのクエストは高難度だ。是非、ユミの力がいる」


バジウスはギリトにそう言った。

ユミは二人を見た


「なあ、ギリト。他のギルドのこと気にしてても始まらねえ! ユミを中間にしようぜ! クエストを成功させて、王族と太いパイプ作って成り上がろうぜ!」


バジウスはギリトの手を握った。


「よし……」


皆の顔がギリトに向く。


「ユミ、よろしくな!」



それから数分後。


「困るなあ、月光隊の皆さん。うちの大事なユミを引き抜こうとしたら」


月光隊のギルド部屋には、重苦しい空気が流れていた。


「すまねえ、だが、そちらのユミからモーションかけてきたんで……」


ギリトは目の前の眼鏡の男に気まずかった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る