第7話:業火の裁き

 王太子と教会の悪行を大々的に訴えました。

 王家王国に独立を宣言し、教会には背教を責める誣告を行いました。


 王家王国は逆に私達を貶める嘘を広め、貴族士族軍を動員しました。

 教会も私達を背教徒と断じて義教軍を募集して攻めてきました。


「敵は領地の外で迎え討つ、領民を腐れ外道に蹂躙させるな!」


 父上の言葉を受けて、騎士、徒士、義勇兵が集まりました。

 王家王国軍や教会の兵士が恐ろしく下劣で、激しい暴行と略奪を行う事はとても有名だったからです。


 騎士や徒士は名誉のために、義勇兵は家族や郷友を守る為に命を賭けたのです。

 ノブレス・オブリージュを知る私が城に籠っている訳にはいきません。

 ダニエラと共に騎士団を率いて出陣しました。


「悪魔よ、魔王よ、悪逆非道な者を焼き尽くす力を与えよ、地獄の業火!」


 私は父上達と対峙する王家王国軍の背後に回り、遠距離から力を放ちました。

 一撃で出来るだけ敵を削ろうと、全軍を皆殺しにする心算で放ちました。


「パトリツィア様、凄いです、敵軍が壊滅しました」


 一塊になっていて、王家王国軍七千人が一瞬で焼滅ぼされました。

 自分でもこれほどの力が発揮できるとは思ってもいませんでした。


 十人でも二十人でも焼き殺せて、それに恐怖した王家王国軍を敗走させられれば良いと思っていたので、一瞬固まってしまうほど驚いてしまいました。


「パトリツィア様、もう一度やれますか?

 ここで教会の義教軍を壊滅させられたら、この戦いは確実に勝てます」


「分かりました、やってみます。

 悪魔よ、魔王よ、悪逆非道な者を焼き尽くす力を与えよ、地獄の業火!」


 私はとんでもない力を手に入れてしまいました。

 今度も教会が集めた四千人を一瞬で焼き殺すことができたのです。


「パトリツィア様、汚らわしいでしょうが、戦場掃除は勝者の義務です」


「分かりました、汚いとは言っていられませんね。

 骨まで焼き尽くせていればいいのですが……」


 戦場では大量に死者が出ます。

 死体を放っておくと疫病が広まってしまうので、焼くか埋めるかします。

 ……身に付けている物を、武器や防具だけでなく、靴や下着まで剥ぎ取ります。


 普通なら、血まみれの死体から少しでも使える物を剝ぎ取る盗賊まがいの行為は、恐ろしく汚いです。


 ところが、私の炎で死んだモノは骨も残さず灰になっています。

 戦場の汗と誇りに塗れていたはずの下着まで、とても清潔になっています。


 全て再利用できる騎士、徒士、強制徴募兵、義教兵の装備が一万千人分。

 普通に売っても侯爵家の純収入六年分以上になります。

 騎士や徒士の装備を我が軍に流用すれば、実戦闘力が倍増します。


「生きている者がいるぞ!」


「殺してはいけません、何故焼き殺されなかったのか聞き出すのです!」

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