第33話 依岡くんの事情
「「……」」
何が起こったんだっけ。
良かったって思ったら、依岡くんの許嫁が現れて。
二人は付き合いだして…デートって…。
なんだかわからないけど、涙が止まらない。
「お、おい
私は
迷惑をかけてしまった。
「ありがとう倭田くん…私…全然意味わかんない」
そう、そうだよ。意味わかんない。
「あの人依岡くんを無理やり…!どういうつもりなの⁉︎」
悲しみは一周回って怒りに変わる。
「あの人、
「許嫁っていうのは本当なの…?」
「…まあ、うん…そう、だな」
そう、なんだ。
依岡くんにはもう、相手がいたんだ。
でもどうして今更あの二人が付き合い始めたりなんかしたんだろう。
「それに
「呼んだ?」
「「うわぁあ⁉︎」」
背後から突然現れた真慧くん。
「なんでお前ここにいんだよ!」
「ん?だって
「それでついてきたのかよ…」
「んで、なんかあったの?」
「それが…」
倭田くんが真慧くんに経緯を説明した。
すると…納得したのか軽く受け答えをする。
「あーね」
「あーねじゃねーよ!お前のせいでややこしくなってんだって!」
「そんなこと言ったって、俺は夏帆さんに珠央が最近憂希美ちゃんと一緒で楽しそうだって話しただけで…」
「それがよくねえっつってんの!夏帆さんが白澤さんのこと利用して無理やり付き合いだしたんだぞ!」
「ごめんって」
二人とも夏帆さんと面識があるんだ。
「二人は、あの人の事どこまで知ってるん、ですか?」
真慧くんが淡々と依岡くんと夏帆さんの過去について説明してくれた。
「んー?あーそうねぇ。まあお察しの通り二人はそれぞれ違う組の会長の子供だ。んで、歳も近い二人は組の間で無理やり接点を作らされたんだと。二人がくっ付けば組の未来も明るいってね。でも夏帆さんの気持ちに対して珠央は全然そんな気もなかったんだ。中学生だったしな」
やっぱりそうだったんだ。でも依岡くんが乗り気じゃない理由がまだわからない。
「それで、どうなったんですか…?」
「レイプしたんだ」
「れいぷ…?」
倭田くんが小声で教えてくれる。
「…無理やりする…ってこと」
「する?」
「…エロいこと」
「⁉︎」
「女の子からだから逆レイプか?夏帆さんが既成事実作ろうとしたんかわからんけど。ま、それで珠央がちょっと人間不信になっちまってな?荒れてたぜ、昔のアイツは」
知らなかった、そんな過去が…。
「んでも親同士が仲良いから切っても切れない関係で、なんとなくなあなあで過ごしてて今になってるわけよ。夏帆さんは珠央とどうしてもくっ付きたい一心でさ。そんで憂希美ちゃんの名前出せば夏帆さんも諦めるかなーって思ったんだけど、逆効果だったわ!」
「馬鹿野郎お前!そのせいで白澤さんすげえ傷付いてんだぞ!」
「だからごめんってばー」
「私のことはいいので…依岡くんを助けてあげられませんか…?」
「組と組の問題だしなー」
依岡くん…どうしよう…。
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