第23話 お悩み相談
土曜日
「少し早かったかな…」
天気も良くて絶好のデート日和。
赤輪駅の大きな時計塔の下で
少しすると、依岡くんの姿が見える。
「依岡くーん!」
「お」
し…し…私服だー‼︎
無地のTシャツに青い薄手の半袖パーカーを羽織って、グレーの半ズボンに結構派手目のサンダル…最近暑いから夏っぽい服装だ。普段と違うのもカッコいい…!
ていうかこんなのデートじゃんデートじゃん!手とか繋ぎたいな…って繋げるわけないじゃんバカ〜!私ばっかはしゃいじゃって。
「お待たせ。早いね、時間間違えたかと思ったわ」
「ううん!楽しみで早く来ちゃった」
「なんだそれ。行こ」
「うんっ♪」
あっ…。
あげたピアスつけてくれてる。
やっぱ似合ってる。
「へへ…」
「なんだよ急に」
「だって〜♪嬉しいんだもん」
ああ…楽しいな。もう楽しい。
依岡くんと一緒に過ごせることが幸せ。
「普段なに見るの?」
「お洋服が多いかな!」
「オシャレだもんな。
「えっ、そ、そう?」
「うん。モデルやってるだけあるわ。結構好み」
「…⁉︎」
どうしてそういうこと平然と言えるのかな⁉︎
「…ね、ねえ依岡くん。依岡くんって、結構、その…」
「うん」
「女の子と、よく、遊ぶんです、か?」
「え?なんで?」
「…なんか、慣れて、る」
「別に普通じゃね?」
「…普通ジャナイ」
「白澤が男慣れしてないだけじゃん?」
「それもあるけど!」
「そんなんでよく俺と遊ぼうと思ったな」
依岡くんは何がおかしいのか笑い始める。
ムッとしたけど、ずっと笑ってる依岡くんを見てたら私もおかしくなって少し笑いが込み上げる。
「依岡くんは、なんか違うの。他の男の子と」
「そ?」
「私ね…自分で言うのもなんだけど、結構モ…モテるみたいで…話したことないのに告白されたりして、どう対応していいかわかんなくて…だからってわけじゃないけど、男の人、ちょっと怖くて…」
「ふーん…?」
こんな話をしたって、何が変わるわけじゃないけど。
「なんで俺は怖くないの?」
「…いや少し怖い、けど」
「怖いんかい」
男の子に、依岡くんに、こんなこと相談してどうするんだろう。
でも、依岡くんが何か考えたように助言をくれた。
「………それさ、相手のこと知らないからだと思うわ」
「え?」
「だってそうだろ。話したことないから怖いんだろ」
「…そう、なのかな?」
「まあ、俺らもそんなに深い仲じゃないと思うけど…なんとなくはお互いのことわかってんでしょ。だから怖くないんじゃね」
確かに、何も知らない人と違って依岡くんは、優しくて助けてくれるし、意外と甘いものが好きだし、笑うと、可愛い。それくらいのことは、私は知ってる。
「………そう、かも!」
「悩みの種は消えたか?」
「うん!ありがとう依岡くん」
依岡くんはすごく落ち着いていて、客観的に私の状況を整理してくれたのだろう。
あんまり人に相談出来ない長年の悩みだったから、正直とても助かってしまった。
「ごめんごめん、こんな話するつもりじゃなかったのに…お店見よう?」
「いいよ」
「よーし!依岡くん着せ替え人形にしちゃうぞ〜!」
「サイコーのコーデ頼むわ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます