第15話 お礼をさせて!

 乙寧おとね

 なんだか、うまくいってるみたいです…。


「何食べる?あ、期間限定のあんじゃん俺こういうの弱いんだよね」


 只今依岡よりおかくんと一緒にどおなつ屋に来ております…。

 あ、どおなつ屋というのはドーナツの専門店で、チェーン店なのです…。


白澤しらさわ?買わねえの?」

「あっ買いま、たべ、たべます」

「ん」


 ううん。

 ここで頑張らないと。

 昨日のお礼って私が。


「ごめん。細かいのないから一緒に払っていい?」

「えっ」

「すみませんこれで」

「ちょっ」


 ここで出させたら私のお礼はいつ終わるの⁉︎

 私が絶対に払………


「かしこまりました」

「えっ、あのっ」


 遅かったみたいです。


―――


「うま」


 私は言いたいことがはっきり言えない子みたいです…。


「食べなよ」

「いただきます…」

「……」

「…!おいしい!」


 幸せ…!

 依岡くんとも一緒に来れてるし、こんなことある?


「………んで、なんだったの?」

「あ!そう!そうなの!」

「何が?」


 何がそうなんだろう。

 依岡くんと話すとテンパってしまう。


「う、あの………お礼、がしたくてですね」

「お礼?」

「うん…昨日、庇ってくれたから」

「そんならもう昨日済んだじゃん」

「済んでないよ!ていうかドーナツまでご馳走になっちゃったし!」

「だから細かいのないんだって」

「私に出させればいいじゃん!昨日のお礼で‼︎」

「「……」」


 私は納得がいかなくてじっと依岡くんを睨みつける。


「ふっ…白澤ってヘンだな」

「⁉︎」


 笑った⁉︎


「じゃあ今度は今日のお返し、なんかしてよ」

「えっ?」

「それでいいでしょ」

「あっ…うん」

「話ってそれ?」

「う、うん」

「そっか」


 ちょっと不思議な私たちの時間は、思ったよりあっという間に終わった。

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