第11話 バレちゃった…

 土日も撮影を挟み、休み明け。

 教室に入るとクラスメートの視線が刺さった。

 なんで…?なんかしたっけ…?


白澤しらさわサン!雑誌みたよ〜」


 え?


「お!白澤さん!」

「ヒューー‼︎」


 何?どういうこと?


「白澤さん可愛い〜!ねえなんで黙ってたの?」

「見ろよこれ白澤さんだぜ!雑誌載ってるすげー!」

「見なよこれ!私も買っちゃおうかな〜」


 …どうして?

 血の気が引いて、冷や汗が噴き出てくる。


 乙寧おとね弥子やこも知っているようで声をかけてくる。


憂希美ゆきみあんたモデルなんてやってたんだ」

「教えてくれても良かったじゃない」

「な、なんでみんな知ってるの…?」


 騒がしい教室の中、依岡よりおかくんが登校してきた。


「おっ珠央たまお〜!おはよう!ちょっとこっち来いよ!」

「なに?」


 依岡くん…。

 結局、バレちゃった。

 隠してほしいなんてお願いしたけど、ダメだった。


「ほらこれ!白澤さん!」

「な?可愛くね?」


 みんなにもこれから何か言われるのかな。

 私みたいなのがモデルやってても、馬鹿にされたり、また変な人に絡まれたり…。


 だけどそんな心配とは裏腹に、依岡くんは一蹴する。


「…バカじゃねーの」

「「え?」」

「本人嫌がってんじゃん」

「え、で、でも見ろよこれすげえ可愛…」

「そういうのつまんないからやめたら」

「え………」


 さっきまで騒がしかった教室が静まり返った。

 そのままゆっくり席に着き、私に声をかけてくれる。


「おはよ」

「っ…お、おはよう」

「今日は静かだな。か?」

「し、白澤です」


 まもなく予鈴がなって、何事もなかったかのように授業が始まった。

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