恐怖! 海水浴場のスイカ男

平沢ヌル@低速中

恐怖! 海水浴場のスイカ男


 人気のない砂浜で繰り広げられていたのは、恐ろしい光景だった。

 中心にいるのは、薄汚れた手ぬぐいで顔を覆った、ポロシャツに短パンの男。その手にはまた、古びた木刀がある。

 それを距離を置いて取り囲むように、四人の人間が対峙している。男二人に女二人、みんな水着姿だ。四人はそろそろと動きながら、中心の男との距離を取ろうとしている。走って逃げ出すことは憚られる、彼に背を向けることになるからだ。


「キョエエエエエエエエエエ!!」


 中心の男が奇声を上げる。

 俺は叫んだ。


「なにやってんだよ並木、スイカはあっちだろ!」

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