第31話 ブルーサピロス島


 エオール帝国から南にある諸島、その中心地とも言われるのが『ブルーサピロス島』――そこには日ごろの疲れを癒すために人々が癒しを求めて訪れる。


 そんな人気観光地、急な予約で行けるような場所ではないがフローネスから譲り受けたチケットにより急遽行けるようになった。


 知ればみんなが羨ましがるだろう、レイなんかもそうだったし、だからソフィアは適当な理由を付けて休んで俺との旅行を楽しみにしていた。


 色々と予定外だったけど良い機会だから楽しめれば良いと思ってる。



 行く方法は空路と海路がある、だが空にも魔物は出るし海と違って守る手段が難しい、だから安全を取るなら海路になってしまう。

 速さなら空なんだがな......まぁ急ぎではないので今回は海路だった――



「――という訳で来たわけだが」


 陽射しは鋭くこちらを突き刺す中、行き交う観光客、まるで前世で行った観光地の様だ。

 ただこの行き交う観光客の中には魔導士もいるのが前世と違うところか。


「えぇ、想像より暑くてびっくり」


 ソフィアは白いワンピース、パラソルを時折クルクルしながらあたりを見渡している。


「来たは良いけどさ、俺......ブルーサピロス島の事何も知らないんだよな」

「......奇遇ですね、私もです」


 そんな平然と言われても困るんですけど。


「てっきり調べたりしてるのかと思ってた」

「調べていてくれるのかなぁとか思っていました......」

「......まぁ4泊5日もあるんだ、後で考えよう」


 とりあえず泊まる予定の宿まで移動する。



 ■



「ふぅ、疲れた......」


 ソフィアはベッドに寝そべる。


「......よく普通でいられるよな」


 なんで俺とソフィア二人で一つの部屋なんだよ、流石に......不味いだろ。


「良いではないですか、私と貴方の仲でしょう?」

「そりゃそうだけど」


 こいつには言っても聞かなそうだ。


「ガルス君......恥ずかしいのですか?」

「は?恥ずかしいわけないだろ、誤解されるのを避けるために――」

「まぁまぁ、その話はこの辺にして......この後、どうします?」


 ソフィアは周辺地域にある名産品や施設などなどが書かれたパンフレットを渡される。


「誤魔化すな」

「誤魔化してません、それともその話題で一日中やりますか?私は良いですけど」


 うっわ、これは本気で一日粘る気だ......


「はぁ、まぁいいや......この後だろ?」


 そんなこと言われてもなぁ、とりあえず――


「まずは、そうだな観光地に行こう、遺跡とか」

「遺跡......前に遺跡で襲われたのに?」

「観光で遺跡を見学するのは鉄板だからな......後は何か歴史あるらしい宮殿とか?」

「それも良いですけど、海はどうです?」

「それは後からでも――」

「なら――」


 とか、あーてもないこーでもないと色々話し合っている間に時間が経って日が沈んでいく。


「......はぁはぁ......とりあえず休もう」

「......私もそう提案しようとしてました」


 一体は何をしにここまで来たんだ、こんな気苦労する為じゃないだろ......俺たちってこんなにもバカだったのか?


「......何やってんだ......俺たちは」


 結局初日はどう観光をするかの話し合いで終わる羽目になってしまった――

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