引き篭もり異世界魔術師の配信無双〜ダンジョンに籠もること200年。ダンジョン配信者に出会って外に出て、一緒に配信始めたらバズった〜
あおぞら@書籍9月3日発売
第1章 共同ダンジョン配信開始
第1話 引き篭もり魔術師、ダンジョン配信者に出会う
———彼女は突然我が聖域に現れた。
因みに聖域とはダンジョンのことで、その中でも50層は食用モンスターも擬似太陽も川も森もあってまさに完璧。
兎に角そんな俺の聖域に現れたのは、よく分からない薄い箱の様な物に、誰もいないのに意味不明な言葉で話しかけては様々な表情に変える不審者。
まぁそもそも此処はそれなりに難易度の高いダンジョンなので、こんなところに来るもの好きは間違いなく頭のおかしい連中なんだが。
じゃあ此処にいる俺は何なのかって?
———どうも、俺の名前はライヤー。
しがない引き篭もり魔術師です。
因みにもう200年くらいはこのダンジョンから一歩も外に出ていない。
だってお外は怖いものだらけだし。
別に弱いって訳でないぞ。
これでも世界で5本の指に入るほどの魔術師だからな!
まぁそのせいで色んな所から様々な事をされて人間恐怖症になったわけだが。
そのため俺は、人間が一切入らない未踏のダンジョン———つまり此処———を見つけてそこに住み始めたというわけだ。
確かにモンスターはめちゃくちゃ強いが決して倒せないわけではないし、寧ろモンスターの肉やドロップ品は高級品なので、全く生活に苦労はしていない。
要は———素晴らしいスローライフを送っていた。
しかし現在はあの少女の不審者にバレないように身を隠している。
俺の本能が『アイツに関わったら禄なことにならない』と警鐘を鳴らしているからだ。
それにしても長い。
もう数十分はよく分からない物に話しかけて辺りをモンスターを殺しながら探索している。
時折———
「———此処が最近現れたS級のダンジョンの50階層ですよ」
「えー流石にそれは怖いですよー」
「———それではこの未知のモンスターを倒していきましょう!!」
などといった、解説的な物を、もうかれこれ1時間ほど呟いている少女。
因みに俺が彼女の言葉を理解できているのは、自身に翻訳魔術を永続付与しているからである。
永続付与は俺の体内から魔力が無くならない限り解ける事はない。
というか1番怖いのはモンスターじゃなくてアンタだよ。
こんなダンジョンの中でブツブツ見えない誰かと話している奴が恐怖以外何があるんだよ。
久し振りに背筋がゾワゾワしているぞ。
いい加減怖いのと鬱陶しくなった俺は思わず小さく溢してしまう。
「早く何処か行ってくれないかな……」
「———それ私に言ってますか?」
…………………。
「……」
「…………あ、あの……」
「———きゃあああああああああああああああああああああ不審者が真後ろにぃぃぃぃいやぁあああああああああああああ!?!?」
「ちょっ———」
俺はあまりの恐怖とバレていた衝撃に身をのけぞらせ、逃げるようにして全力ダッシュでダンジョン内を駆けた。
「———それで、何故逃げたのですか? というか貴方は誰なんですか? 見た感じ日本人ではなさそうですけど……」
はい、俺はあっさり捕まりました。
やはり引き篭もりが自分の足で此処にくる奴を巻けるわけ無いですよね。
現在、正座と呼ばれる座り方で座っている。
「え、えっとですね……」
俺はあまりに久し振りに話すので、吃ってしまう。
別に彼女が美少女過ぎるからではない。
断じてない。
「と、取り敢えず貴女の名前を教えてくれませんかっ?」
先に自分の名前を名乗るのは危険なので、そう提案してみる。
仮に彼女が魔術師で、洗脳系の魔術が使えるのであれば、名前を教えるのは大きなデメリットとしかならないからな。
そんな俺の思惑を知ってか知らずかは分からないが、直ぐに頷いて同意してくれた。
「ま、丁度いいですね。皆貴方のことを知りたがっている様ですし」
「皆……?」
俺は辺りに視線を巡らせ、魔力で感知もしてみるが、人間の気配は微塵も感じない。
一体彼女は何を言っているのだろうか。
「あー……もしかして知りませんか? ダンジョン配信者」
「———ダンジョン配信者……? 何ですかそれ?」
俺が何を言っているのか分からずポカンとしていると、逆に向こうも『コイツマジで知らねぇの?』と言わんばかりの感じでポカンと呆けていた。
「え、ダンジョン配信者を本当に知らないのですか!? このスマホも、じゃあ私———
「スマホ……? うーん……全く存じ上げませんね。外ではそんなことが流行っているんですか……? 幾分、このダンジョンに200年も居たもので、全然外の事が分からないのですよ」
「う、うそぉぉ……200年……? この世界のダンジョンは最古のものでも100年前なんですけど……?」
……??
イマイチ話が噛み合わないなぁ。
それに名前も今まで聞いたことのない不思議な感じの名前だし。
「———因みにアサギヒメノ? さんのご出身は?」
「え? 勿論日本ですけど……そう言う貴方は何方の出身なのですか?」
「あ、俺はアブソリュート王国です」
「「…………どこよ(ですか)それ」」
もうわけが分からん。
思わず頭を抱えそうになる俺であった。
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今回はダンジョン配信要素もあるよって感じの新作です!!
一応、配信:日常が4:6か3:7くらいの予定です。
是非フォローと☆☆☆をよろしくお願いします!!
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