第4話 マッサージして欲しい2


「まずは背中の上の方……」


「肩の辺りから、揉んでいきますね」


//SE 衣擦れの音(以下、マッサージ中はずっと小音で流れている)


「……強く押しすぎていたら」


「いつでも言ってくださいね」


「全く我慢する必要はありませんので」


「……」//マッサージに集中


「……どうですか?」


「先輩のこと」


「ちゃんと気持ちよくできていますか?」


「……いい感じ?」


「……」//嬉しそうな吐息


「そう言ってもらえると、私も嬉しいです」


「このまま続けますね」


「……」//マッサージに集中


「……先輩」


「ひとつ、質問してもいいですか?」


「……さっき食べた私の手料理」


「……おいしかったですか?」


「……いえ、もちろんおいしそうに食べてくれてたのは見てましたし」


「おいしいとも、言ってもらいましたが」


「……すみません、やっぱりなんでもないです」


「私が心配性なだけなので」


「先輩は気にしないでください」


「……え、本当においしかった?」


「……」//嬉しそうな吐息


「ありがとうございます、先輩」


「先輩を癒してるはずなのに、逆に私が元気をもらっちゃいましたね」


「おかげでもう大丈夫なので」


「先輩は目を閉じて」


「私の手の感触と、声だけに集中してください」


「……恥ずかしいので、匂いはなるべく意識から外してください」


「……」//マッサージに集中


「このくらいでいいですかね」


「結構柔らかくなってきたので」


「次は腰の方をマッサージしていきますね」


//声が少し遠ざかる


「……」//マッサージに集中


「……先輩、肩も腰も、すごく凝ってます」


「机に向かう時、猫背にならないように気をつけてくださいね?」


「先輩がもし体を壊してしまったら」


「……私、本当に悲しいので」


「自分の体、もっと大切にしてください」


「言ってくれれば、私もまたマッサージしてあげますから」


「……」//マッサージに集中


「……」//マッサージに集中


「……先輩、少し眠くなってきましたか?」


「ふふっ、いいんですよ」


「無理せず眠ってしまっても」


「私も少し、喋るの控えますね」


「……」//マッサージに集中


「……」//マッサージに集中


「……」//マッサージに集中


「……先輩、起きてますか?」


「……寝ちゃった、かな?」


//声が近づく


「ふふっ」


「先輩の寝顔、可愛い」


「……あ、でも」


「かっこいいって言われた方が」


「先輩は嬉しいのかな?」


「んー」


「まあ、今くらいは、いいですよね?」


「……添い寝とかしても、いいのかな?」


「起こしちゃわないかな?」


「……」//悩んでる吐息


「静かにしてれば、大丈夫、だよね」


//演技依頼 以下、ずっと囁き声

//SE 先輩の隣で横になる音

//耳元に近づく


「本当は、最後まで先輩のマッサージを続けるべきなのかもだけど」


「こんなに気持ちよさそうな寝顔を見たら」


「……私、我慢できないですよ、先輩」


「……」//寝息に近い吐息


「……ああ」


「せっかく先輩を好き放題できるのに」


「もったいないことしてるかな、私」


「でも」


「こういう時間も、とっても幸せなんだよね」


「……先輩」


「大好き」


「本当に、愛してるよ……先輩」


「ずっと一緒にいようね」


「……」//寝息に近い吐息


「……おやすみなさい」


「先輩」


「……」//寝息


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