微笑む聖女/月宮瑠璃への恋

タカユキ

第1話2人の出会い

一目惚れだった。透き通った白い肌、

さらさらな黒い髪、二重のぱっちりとした全てを見通す様な神秘的な目。


それでいて長身のスタイルの良さ

お姉様に初めて会った時の衝撃は、忘れない絶対に。


その出会いは、オリエンテーションの日だった。新しい制服を着たばかりの私は浮かれていた。

あぁこれから楽しむぞー。


そんな時私はすぐにお姉様の存在に気づいた。

彼女は窓際に立って、春の陽の光がまるで彼女にスポットライトを浴びせる様な感覚で、私を虜にした。


制服姿がとても愛らしくそれでいて品を感じさせる。それはあたかも天使のような、誰もが振り向かずにはいられないオーラを纏っているかの様。


そう、まるで聖女様の様ないえ、きっと聖女に違いなかった。


そんなお姉様に近寄りたくて思案したけど、結局声をかけれなかった。凄い後悔した。

私のバカ、あぁ過去に戻りたい。


だが運命のいたずらか、私たちは同じクラスになった。

私は神様に感謝した。私は授業を受けていたけれど、授業そっちのけでお姉様を遠くから眺めているだけで、私の心は満たされていた。


幸せ。だけどやっぱりお姉様と仲良くなりたくて、その願望が心の中でくすぶり初めていた。この感情が何なのか、私にはまだ分からなかった。


けれど、お姉様への想いが日に日に大きくなっていくことは、確かだった。

明る日、私は勇気を振り絞って、お姉様に話しかけることした。

お姉様の名前はすぐに覚えた。けど私の事はまだ。


月宮瑠璃、お姉様の名前。名前まで神秘的だなんて。

彼女がいつも読んでいる小説を私も読んで、それを話題のきっかけにすることにした。


あの月宮さん私も、その本読んでるんです。

私は緊張しながら告げる。


そうなんですか?お姉様は笑顔で答えてくれた。面白いですよね。私この作者の作品好きなんですよ。


私達の会話はそれがきっかけで始まった。

私は喉が渇くほど、緊張した。けれど、それと同時に喜びを感じた。


あぁ、声まで素敵。私は、幸せすぎて時間を忘れ、お姉様の事がさらに好きになった。


この主人公とても魅力的だと思うの。

特にみんなを引っ張っていく姿が素敵で、それでいて全然威張らないで、仲間に気配りできる。お姉様が熱く語ってくれた。


本当。それでいて、凄い大きな夢を持ってるところが好感持てるね。私もこの主人公に夢中になれる。


イメージ通り性格まで良い。もう結婚したい。結婚式をイメージして2人ともウェディングドレスを着ていたので、ちょっと吹いてしまった。


桜井明日香さん、貴方は月宮瑠璃さんを愛すると誓いますか?


はい誓います!私は妄想の中でめっちゃ良い返事をした。


桜井さんあの急にどうしました?お姉様が心配そうに聞いた。


はっ。いけないお姉様の前でニヤけてしまった。私桜井一生の不覚。

いえ、もう月宮さんの話しが楽しくて

つい笑顔になっちゃって。ごめんなさい。


その後数週間が過ぎた。お姉様との中も少しずつ自然な感じになってきた。

全てが新鮮で、本当に幸せな毎日。


桜井さんまた明日もお話ししましょうね。

お姉様の優しい笑顔が、心にとても響く。

そしてお姉様の一つ一つの仕草がとても可愛い。私にないものを持っているお姉様。


私の明日への期待は、ますます高まっていく。

ところが次の日、その知らせを聞いて私の胸は張り裂けそうになった。


私は暫く呆然としていた。普段の平穏が崩れる様に感じた。


それは…


お姉様が病気で入院したと聞かされた。

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