第10話 決意
「急にお呼び出しなんて、どうなさったんですか?ユイさん」
ワタシは、トシヤの事を相談するためにエリちゃんを喫茶店に呼び出した。
「ごめんねエリちゃん、でもエリちゃんなら何か知ってると思って・・・」
「もしかして、トシヤくんの事ですか?」
その核心のついた言葉に、ワタシはエリちゃんが何か知ってると確信した。それなら話は早いとワタシはさっそく本題に入る。
「そうなの、最近あいつ何だか普段と違くて、なんていうのかな・・・俺に関わるなみたいな雰囲気でさ、エリちゃん何か知ってる?」
するとエリちゃんは俯きながら答える。
「はい・・・」
「ホント!?」
「でも、これはワタクシとトシヤの問題です。ユイさんやサクラさんにご助力してもらうものでは無いんです」
やっぱり、あの時のトシヤと一緒・・・でも今回は簡単に引かない!
「でも!アイツがあのままでいるのは友達として耐えられないのよ!」
「それはホントに、友達としてですか?」
ワタシはエリちゃんが何を聞きたかったのか分からなかった。すると、エリちゃんは重ねて言った。
「普通でしたらご友人が何やら塞ぎ込んでいたとしても、わざわざそこまでやりません。相手にご迷惑をかけてしまうなもしれませんから」
「なので改めてお聞きします、ユイさんのトシヤさんへの気持ちはご友人としてのそれだけなのですか?」
ワタシはそのエリちゃんの問いに何も返すことはできなかった。友達のためにお節介を焼くことはこれが初めてじゃない。けれど、こうやってわざわざ他人を呼びつけてまでどうこうしたことはない・・・それはワタシにとってアイツが特別だから?分からない、けど!
「今のワタシにはそれは分からない・・・ロクに誰かを好きになったこともなかったから」
「そうなんですか・・・」
「でもっ!!」
「だからこそ何とかしてアイツを元気にしてこの気持ちに向き合いたい!だからっ!」
そう叫ぶワタシの目にはきっと涙が浮かんでいた。ホントにもう、バカみたい・・・
「だからっ、アンタとアイツに何かあったならワタシも力になりたいのよ・・・」
そう言い終えるとワタシは俯いてエリちゃんから目を背ける。泣きそうなところを見られたくなかったからだ。
そのまま沈黙の時間がしばらく続いた。いや、しばらくはあくまで体感であって実際は10秒にも満たなかったのかもしれない。その時、エリちゃんが口を開いた。
「分かりました。できるだけのことはしようと思います」
「ほ、ホントにっ!?」
「ええ、だってワタクシもこのままじゃいけないとは思っていましたもの」
「けれど、どうすれば良いか、もしも行動を起こしてさらに仲が悪くなってしまったらどうしようと動かずにいました」
「けれど、ユイさんのトシヤのためにガムシャラに動く姿と先ほどの言葉で気づいたんです」
「気づいた?」
「はい、結局人は動かなければ前にも後ろにも進めないと、それなら後ろに下がってしまうことも覚悟で動くしかないということを・・・」
「そっ、そっかー・・・」
な、何かすごく恥ずいっ!!?
「なのでワタクシも今を変えるために動こうと思います。ですのでユイさん・・・」
「ワタクシのお手伝いをして頂けますか?」
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