僕の奥さんは怖い
虹室 桜智
足音
疲れた……。現在、水曜日22時。最寄り駅に着き、駅から徒歩7分の家路を進む。
夕飯は会社近くの定食屋で済ませている。
4階まで階段で登り、玄関を開ける。
「おかえりー。はははっ!」
玄関すぐの部屋から声が聞こえる。笑い声も一緒に聞こえるから面白い番組でも観ているのかもしれない。
鍵とドアチェーンをかけ、部屋を覗くと座椅子を175度くらいに調整した状態で寝転がっている奥さんがいる。ぐうたらさんだ、と言えば、ぐうたらさんです!と元気のいい返事が聞こえる。観ているテレビを見れば映っているのはニュース番組。何が面白かったのかと思っていると、あのね、と奥さんが話しかけてきた。
「テレビ観ていたらね、階段を上る足音が聞こえてね、帰ってきたのかな~って思ったら、ガチャって開いたものだから、面白くて笑っちゃった」
笑っていた理由はそれだったらしい。確かに階段に近い部屋ではあるが、足音が聞こえるのも、それが僕かもしれないと考えたのも僕からしてみればかなり驚愕の話だ。何せ両隣の部屋にも住人がいるから。だから、つい口から出てしまった。
「怖……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます