第51話 てんちゃいあえか(鈍感)
「Vtuberは夢の塊!! 荒木あえかです!」
→こんあえ〜
→こんあえ〜
→『こんあえ〜』
「ということで、今日は雑談枠だからなんか喋るかぁ....」
→なんか俺らで企画考える?
「それいいじゃん!!それで行こう」
そう言うと、リスナーである〈紅枝あかえだ〉達は、企画案をコメ欄に書き始めた。
今日も、Vtuber生活は順調である。
ちなみに、リスナーのみんなにはあえかが二重人格であるということで誤魔化した。
流石に今までにあったことは言えないし.....。
「いやぁ....最近、先生がむずい問題ばっか出してきてめんどくさいんだけど」
「そうなの?」
「そうだよ。この前なんか、中1の私に<係り結びの法則>をやらせてきたんだよ?」
「<係り結びの法則>?」
もーねは分からないようだ。電話越しからでも頭を傾げているのがわかる。
「まぁ、それはめんどくさいから今度言うよ」
「英語の方はどうなの?」
「そりゃ、めんどくさいよ?」
「具体的には?」
「うーん。私だけ2000文字を超える長文を与えてくるとか」
「そりゃ、えげつないね」
「でしょ?」
それから、もーねとは他愛もない話をして終わった。
「そういえば、最近平和すぎるんだよなぁ........」
前回の教訓から平和すぎると、何か良くないことが起きてしまうということ。
最近、事件と言えるものがなにも起きていなかった。
裏で何か起こっているかもしれないんだけど........。
別の日
「この前した、みんなが企画案書いてくれたやつで、思ったより面白い企画があったから、やってくぞー」
→わーい
→やったぁ
→待ってましたー!
その日の配信では、みんなから募集した企画をした。結構楽しめて、気が付けば4時間が経過しているという異例の事態だった。
下からおどろおどろしい親の気配……明日も学校なのでねっ……早く寝なくてはということですぐに配信を閉じた。正直、もっとやりたかったが、説教されるっ……。
次の日の夜
現在、もーねが自分の部屋にいる。
「そういえば、胡桃ちゃんとデートした時にさ」
そんな中、もーねが唐突に話を変えてきた。
「あぁ、建前上のデートのやつね」
胡桃さんが、はなさんを嫉妬させるという目的のためにデートしたあの日のことか。
「盗聴k……げふんげふん……風の噂で聞いたんだけど、胡桃ちゃんとキスしたの?」
なんか、不穏な単語が聞こえた気がするけど…まぁウッドエレメンタルか。
「してないよ?いやまぁ、どこかではなさんやもーねが見てるかもしれなかったから、キス…にはたから見れば見えるぐらいまで唇を近づけただけだよ?」
実際に、めっちゃドキドキはしたものの、キスはしていない。何とかファーストだけは守りきった……。
※あえかは気づいていませんが、ファーストキスは既にもーねとしています。(参照 1期 11話)
「なんだぁ…ほっとした」
……?なんでもーねがほっとするんだろうか。
「まぁだから、キスはしてないよ」
「ま、まぁ。最初は私ごにょごにょ」
「何をごにょごにょ言ってるの?」
最初とか…なんなんだ一体…?
「……っ!もしかしてもーねってキスしたことあるの!?最初ってそゆこと!?」
我ながら完璧すぎる推理だ……。
「っ!?いやまぁ、そうなんだけど……嘘は言ってないし…ごにょごにょ」
「私を誤魔化すことはできないよ」
「う、うーん……」
バレて動揺してるっぽい。
「それってお母さんとかお父さんとかでは無いよね?」
「う、うん」
……そう考えるともーねって親以外の誰かとキスしたことあるのか……一体誰なんだ……?
「今日、泊まってく?」
私はいつものようにもーねに聞く。
「えっ!?いいの?」
「いやまぁ別に……いつもの事だし、全然いいけど」
「泊まる!!」
もーねが元気よくそう言った。そんなに私の家に泊まれるのが嬉しいのか……?話し相手がいると楽しいし、そういうもんなのかな…。
「母さん、今日もーね泊まるから」
「はいよ」
ということでもーねが家に泊まることになった。
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