第20話 推しと推しの後輩2人
「なんで迷ったの?」
「いやちょっと、看板読めなくて...」
「いやまぁ...確かに看板読みづらいか、その身ty...」
「それ以上は禁句だよ?」
おっと危ない。もーねのことを自分と同じ身長にするところだった...。
「あっ、そういえばお二人ともこんにちは!」
もーねと一緒にいたのは、もーねの後輩の胡桃さんとはなさんだった。
「あれ?お母さんたちまだ来てないの?」
「ママたちはもうひとつの部屋でしょ?」
「あ、そうだっけ」
そう。温泉旅行8人分ということで、4人全員のお母さんを呼んだのだ。
流石に4人だけだと勿体無いし...。
「いや、思っていた以上に....その...小さいん...だね」
「やられたいんですか?胡桃さん?」
「あっ.....ごめんなさい....」
よし。胡桃さんが物分かりのいい人でよかった。
「まぁまぁ、あえ虐はそこまでにしましょう?」
あ、あえ虐...?はなさん???
「と、とりあえず、みんな温泉入りに行かない?」
もーねがそう提案した。まぁ、ちょうどいいし入りにいこっか。
「いいね!そうしよう!」
やけにテンション高いな胡桃さん...?温泉って単語にめっちゃ食いつくじゃん。
温泉大好きなのかなぁ?
まぁ、とりあえず疲れたから温泉で疲れを取ろう...。
「ふぅ〜」
「いい湯だねぇ〜」
時刻は8時。月光が水面でゆらゆらと揺れている。そして、もーねが頭にタオルを乗っけている。もうすっかり日本に染まっているみたい。
「....それにしても」
「どうしたの?」
「距離...近くないですか...?」
そう。なぜか胡桃さんがベタベタとくっついてくる。
人とあんまり会ってなかったって言ってたし、人肌が恋しいのかなぁ...?
そこんとこ、自分はメンタリストじゃないし、よくわからないけど。
「そうかなぁ?私はただ単にあえかちゃんと仲良くなりたいだけだよ?」
そう胡桃さんが言うが、それでも距離がおかしいと思ってしまう自分は考えすぎなのだろうか。でも、もーねの距離感もバグっているから、そう考えると別にか。
「それにしても自分たちしかいないねぇ〜」
と俺は言った。周りを見渡しても俺ら以外いないのがちょっと不思議に思ったから。
「そういえば。みんなって温泉の都市伝説知ってる?」
と急にはなさんが言ってきた。
「なんですかそれ」
俺は少し寒気を覚えた。温泉入ってるはずなんだけど...?
「月夜の晩、温泉の水面に映る私たちは、コピーされているんだって。」
「コピー?」
「うん。それでその化け物が私たちと完全に成り代わろうとするんだって」
「............」
「それで、もしかしたらそこらへんの草むらに...」
「そ、そんなわけないでsy」
ガザガサ
「⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎」
俺は怖すぎて、胡桃さんに抱きついてしまった。
「ちょちょちょ、あえかちゃん⁉︎」
「怖いぃぃぃぃ」
何を隠そう、自分は怖いものが大の苦手なのである。
ホラーゲームなんてやろうものなら失神してしまう。しかもプロローグで。
「ほ、ほら!鳥さんがいただけみたい」
はなさんがそう言うので、草むらをみてみると雀がそこにいた。
「な、なんだぁ...」
ほっ...怖かった。
「あ、あの。あえかちゃん?」
「?」
「そろそろ、離してもらえると...」
「あ....ごごごごごめんなさい!」
俺は一瞬のうちに胡桃さんから離れた。
「くっつくなら私でもいいのに...」
なぜかもーねが拗ねている。
「いつもくっついてるやん」
と、自分はツッコんだ。
—ゴソッ。
「...ん?」
なぜか体に違和感があったので、目をこすりながら目を開けてみると、自分の上に乗っていたのは...
「く、胡桃さん...?」
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