一寸の子供と打出の小槌-夢と勇気の物語

緋色有機@休業中

その子供は誕生してみると、身長がたった一寸しかありませんでした

昔々、子供のない老夫婦がいました。彼らは長年にわたり、子供に恵まれることを神に祈り続けました。ある日、住吉の神に誠心誠意願いをかけると、老婆は妊娠しました。


喜びに包まれた夫婦は、待ち望んだ子供を迎える日を楽しみにしていました。しかし、その子供は誕生してみると、身長がたった一寸(現代のメートル法で3cm)しかありませんでした。成長するどころか、年月が経っても子供は一寸のままでした。


一寸の子供は、自分が大人になりたいという夢を抱いていました。彼は武士になることを志し、京へ旅立つことを決意しました。お椀を小さな船に見立て、箸を櫂(かい)にし、針を武器として、麦藁を刀の鞘に見立てて装備を整えました。


京に着くと、一寸の子供は美しい大きな屋敷を見つけました。彼はその屋敷で働かせてもらうことになりました。その家の娘と一寸の子供は、宮参りの旅に同行することになりました。


しかし、途中で恐ろしい鬼が現れ、娘をさらおうとしました。一寸の子供は勇気を振り絞り、鬼から娘を守ろうとしましたが、鬼は彼を口の中に飲み込んでしまいました。


一寸の子供は鬼の腹の中で立ち上がり、針で鬼を突き刺しました。鬼は痛みに耐えかねて降参し、一寸の子供を吐き出し、山へ逃げていきました。


一寸の子供は、鬼が落としていった打出の小槌を手に取りました。彼は小槌を振ると、金銀財宝が次々と打ち出されました。一寸の子供はその財宝を売り払い、まとまったお金を手に入れました。


彼はそのお金を利用して株式市場に参入しました。医薬品セクターで、あやしげな医薬品の企業を見つけた彼は、その企業の新製品である大きくなる薬の治験者となりました。


一寸の子供は、あやしげな医薬品を服用し始めました。すると、驚くべきことに、彼の身長はたちまち伸び始め、普通の人と同じ大きさになっていきました。彼は大きな喜びに包まれ、新たな人生の道を歩むことができることに感謝しました。


一寸の子供は、京で出会った娘と結婚しました。彼は打出の小槌を振り続け、金銀財宝を再投資し、株式取引を続けました。その結果、彼と妻は一生豊かに暮らすことができました。


彼は大きな屋敷を手に入れ、多くの人々に助けを与えました。彼は寄付を行い、教育や医療の支援に貢献しました。一寸の子供は、自分自身が小さかった過去を忘れずに、人々の幸せのために尽くすことを心に決めました。


彼の豊かな人生と行いは、周囲の人々から称賛されました。彼の勇気や善意は、子供たちや若者たちの心に希望の光を灯し、彼らに大きな夢を抱かせました。


一寸の子供は、自分自身が一寸だった過去を振り返りながらも、小さな体や過去の経験を超えて、心の大きさや善行に真の価値があることを学びました。


そして、彼は人々に語り継がれる英雄となりました。彼の物語は昔話として語り継がれ、子供たちは彼の勇気や成就した夢を夢見るようになりました。


こうして、一寸の子供は小さな体から立派な人生を築き上げ、その善行と夢を通じて、人々の心に永遠に生き続けるのでした。


[おしまい]

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

一寸の子供と打出の小槌-夢と勇気の物語 緋色有機@休業中 @mixjuice2k

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ