第1話 運命の一時間


 一時間、コレがどんなに短いと感じたかわからない。

 いきなりここに連れてこられて一時間で異世界に転移させるからポイント使って自分をクリエイトしろってわけが分からない。

 千ポイントを必死で振り分けると一時間なんてあっという間に過ぎてしまう。

 一時間きっかりで異世界転移させられた俺のステータスがこれだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 東 一彩ひがし いちや 20歳

 レベル1

 力 E

 体 E

 速 E

 知 E

 魔 E

 スキル アイテムボックス 魔力操作 体術

 ユニーク 取得経験値アップ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 アイテムボックスが三百、魔力操作が百、体術百、取得経験値アップが五百、計千だ。

 他にも取りたいものがあったし、コレで満足しているわけじゃないが仕方ない。


 草原に転移させられた俺はとりあえず歩いてみる。まだフワフワした感じだがなんとかなりそうだ!しかしパンツ一丁で出されるとは思わなかったな。ポイントに服関連があるわけだ。

 しかし、そんなものにポイント使ってられないだろ?でもどうにか調達しないとな。

“ガサッ”

「ウオッ!ホーンラビットか」

「キュ」

 こちらを威嚇するホーンラビット、俺も負けじと体術で勝負だ!飛び込んで来たところに手刀を合わせて勝ちをもぎ取る!

「いよし!」

 ホーンラビットをアイテムボックスにいれる。

「アイテムボックス取ってて良かったよ」


 それから道を探しながらホーンラビット狩りをやっている。手刀で一発なので倒せる。

「やった!道だ!街も見える」

 城壁に守られた街に向かって歩いていくが、パンイチでした。

「な、なんだ?そう言う趣味のやつか?」

「ち、違うんです!気付いたら何も持ってなくてパンツ一丁で草原にいたんです」

「追い剥ぎか、大変だったな。それで何も持ってないと不便だろ、盗賊の盗品だが貸してやるよ」

「あ、ありがとうございます」


 盗品の服を貸してもらって中に入れてもらう。

「返しに来いよ」

「はい!必ず」

 良い門兵さんだったなぁ。パンイチの俺なんか怪しくてしょうがないだろ。

 まずはギルドで証明と換金だな。


 冒険者ギルドに来た。

 受付に行きホーンラビットを売りたいと言ったら右のドアを教えてもらい、入っていく。

「おう、なんだ?何も持ってないようだが?」

 禿げた大男が出て来る。

「ここで出して良いですか?」

「いいぞ」

 アイテムボックスからホーンラビットを出すと驚いていた。

「アイテムボックス持ちか?今みたいに出すのは辞めとけよ?アイテムボックス持ちは希少だから連れ去られるぞ?」

「は、はい!」

「んで、刺し傷がないから殴って捕まえたのか?解体費は貰うぞ?」

「はい、お願いします」

「ちょっと待ってろ」


「ふぅ、ホーンラビット十匹、解体費を抜いて、肉が千ゼル、毛皮が五百ゼル、ツノが五百ゼル、魔石があるやつがいたから三つで三百ゼルだ。合計二千三百ゼルだな」

「それでいいです」

「ならコレを受付に持って行け」

「はい!」

「後コレをやる、ズタ袋だがないよりマシだろ」

 おっさんは汚れたズタ袋をくれた。

「あ、ありがとうございます」

 どんどん物が集まってきて普通になっていく。

「いいから早く行け」

「はい!」


 受付に行くと待ってました的な感じだ。

「はい、二千三百ゼルですね」

 銀貨を二十三枚貰い、

「冒険者になりたいのですが」

「はい!登録ですね、ではこの紙に必要事項を書いてください」

「はい」

 名前はイチヤでいいか。

「書けました」

「はい、ではこの上に指を置いて下さい」

 人差し指を置くとチクッとして、指を離す。

「あ、痛かったですか?ヒール」

「あ、ありがとうございます」

「いえ、ではこれがイチヤ様の冒険者証になります」

 ドッグタグになっていて、Fと印字されている。

「FランクからSランクまであって、イチヤ様はいまFランクになります。一週間以内に依頼を受けないと失効するので、気をつけてくださいね」

「はい!」

「常設依頼はホーンラビット、ゴブリンの討伐、薬草採取なのでそれらは受付に出さなくても大丈夫です」

「はい」

「それでは良き冒険者ライフを」

「はい、ありがとうございました」

 これで証明も手に入れた。


 あとはこの金がどれくらいの価値があるかだが、宿にとりあえず行ってみよう。


『錆猫の居眠り亭』ここだな。受付に戻って聞いてきた。

 中に入ると女将さんがいて、

「あら、見かけない顔だね。うちは朝食付きで四百ゼルだよ」

「あ、お願いします」

 四銀貨を支払い部屋に案内される。

 ライトとシャワーの使い方を教えてもらった後、一人になってベットに横になる。

「はぁー、疲れたなぁ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 東 一彩ひがし いちや 20歳

 レベル6

 力 D

 体 E

 速 D

 知 E

 魔 E

 スキル アイテムボックス 魔力操作 体術

 ユニーク 取得経験値アップ

 残りP500

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 よし、レベルがもう6に上がってる。

 ポイントもレベル毎に100貰えるみたいだな。

「あ、服を買いに行かないと」

 女将さんに安い服屋を紹介してもらって、千ゼルかかったけど替えの服までゲットした。あとはブーツが五百ゼル、残り四百ゼルになってしまった。


 門兵に服を返しに行くと、

「こんなに早く返しに来るとは思わなかったぞ。ありがとな」

「こちらこそありがとうございました」

「俺はゴズだ」

「イチヤです。よろしくお願いします」

「あぁ、よろしくな」

 門兵のゴズさんと握手して別れる。

 まだ日は高い、ホーンラビットを狩りに行こう。

 踵を返し、門を出て草原でホーンラビットを六匹狩れた頃、夕暮れが迫っていた。

「早く帰ろ!」

 走って門をくぐる。

「もうちょっとはやく帰ってこいよ」

 とゴズさんに言われ、ギルドでホーンラビットを解体場に持っていく。

「おぉ、また早かったな!ホーンラビットはいくらでも大歓迎だ。六匹か、待ってな」

 すぐに解体してくれて、換金すると魔石待ちが三匹いて千五百ゼルになった。

「これで今週の依頼は達成になりますね」

「はい、毎日でも良いんですか?」

「はい、もちろん」

「ありがとうございます」


 宿に帰り夕飯は百ゼルだが頂く。

 うさぎ肉のソテーにパンにサラダ、エールがついて百ゼルなら言うこと無しだ!

「エールがキンキンに冷えてて美味い!」

「だろ!ここのエールは最高だぜ!」

 知らない人とも仲良くなり、夕食を堪能した後はシャワー浴びてベットに横になる。

「あぁ、本当に疲れた」

 疲れもあってすぐに眠りについた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る