31 佐藤嗣浩


 みんななかなか本格的な話だから、僕からは抜け感のあるコミカルな怖い話を。

 有名メーカーが作った帽子があるんだが、困ったことにそのメーカーの帽子、できはいいんだが、外すと髪が抜けているという。




 32 新島建


 じゃあ、怖い話メジャー選手をそろそろ出そうか。井戸の話だよ。

井戸っていうのは最近少なくな ってきているけど、ちゃんと埋めるための儀式があるんだって。

 確か……祈祷して、梅の枝とヨシっていう植物を一緒に奉納するんだっけ。それで「うめてよし」ってね。

でも、呪いの井戸っていうのの 中にはこんな話があるんだ。

 奉納するはずのヨシをアシと間違えていたため祟りが起きたって。

 ヨシとアシって、生えてる場所が違うだけで、そっくりなんだって。

 でも「うめてあし」じゃあ、そりゃね。げんかつぎ的にはだめでしょ。

 気をつけないとねぇ。




 33 美濃山茶花


 保健室の話をするね……

 保健室のあるベッドは絶対にカーテンを閉めちゃいけないの。

 カーテンとか閉めきっちゃうと、そのベッドの空間だけ切り取られて、どこにも繋がらない虚空に飛ばされちゃうんだって。

 わ、私ね、そのベッドで休むとき、やっぱり隙間とかあると気になっちゃうからしっかり閉めたら、目眩がして、そしたら保健室の先生が慌てて開けてくれた。で、その話を聞いたの。

 みんな、気をつけてね。




 34 葉松隆治


 おっ、全然出てないから七不思議いただきぃっ

 四階廊下のずるずるさんって知ってるか? 夕方にな、四階廊下をずるっ……ずるっ……って何かを引きずる音がするんだって。滅多なことじゃ四階には放課後行く人いないのにさ。

 でも、ずるずるさんが引きずっているものの正体を確かめに、四階行っちゃだめだって。

 噂によれば、「引きずられるから」ってことだそうだよ。




 35 八坂裕


 うちの姉貴の実体験。

 姉貴とおれは結構年が離れてて、姉貴大学生なんだ。でいつもバイトとかで夜遅くまで働いてる。

 そんなある日の帰り道、姉貴はただ歩いていたんだが、唐突に後ろからぽんぽんと肩を叩かれ、「ついてますよ」って言われたので、確認のために振り向いたんだが、誰もいなかったそうだ。服とか髪にも汚れとかはついていないし。そもそも言ったやつはどこへ行ったんだか。




 36 宵澤輝


 せっかく双子がいるんだから、やっぱりドッペルゲンガーの話は欠かせないよね。

 ドッペルゲンガーっていうのは同じ顔をしたもう一人の自分で、会ってしまうと死んでしまうという話もある。まあ、後半は「世界には自分と同じ顔が三人いる」って話だけどね。あれもドッペルゲンガー現象として伝えられているね。

 でも僕が推したいドッペルゲンガーの真実っていうのは鏡の方だなぁ。

 ドッペルゲンガーって、日本語では「鏡像体」って書き表されることもあるみたいだし、鏡の中の自分と入れ替わっちゃう、なんて話は結構メジャーだろう?

 鏡を見るときは気をつけないとね。




 37 東海林瑞季


 んー、洗濯ばさみの話でもしようか。

 昔の洗濯ばさみって大きいとかなんとか。でさ、洗濯ばさみって指とか挟むと痛いじゃん。そのことからある村では処刑方法として洗濯ばさみを使っていたんだって。

 どうやるかと言いますと、まず、吊るす用に長い麻紐を用意致しまして、適当な部分に洗濯ばさみを二つつけます。

 その洗濯ばさみで罪人の耳をそれぞれ挟めばはい出来上がり。

 その後どうなるかって? ご想像にお任せするよ。




 38 四月一日維


 俺の名前、四月一日について。

 どうして四月一日と書いて「わたぬき」と呼ぶかというと、実は昔の風習で、子どもを厄から守るために人形を作って、身代わりとしてその人形の綿を抜くという「綿貫」というのが四月一日に行われていたからだそうだ。

 でも、こういう儀式がいつも成功するわけではなく……

ある人は子どもを守る一心で人形の腹を割り、全ての綿を抜いたそうな。

 その翌日、子どもは腹を裂かれ、五臓六腑を撒き散らして、死んでしまった……とか、ね。




 39 小鳥遊舞

 てるてる坊主の歌は知ってる?

 そうそう、よく聞くとエグいあれね。

 実はあれには続きがあって、その内容が、

「てるてる坊主に祈った貴方の首も叶わなかったらちょん切りますよ」

 ってものなんだってさ。




 40 千葉知花


 市松人形の話をしようか。

 え?市松人形がわからない? そりゃあれだよ。髪が伸びる系の怖い話で出てくるタイプのそうそう日本の人形。

 あれね、ちゃんと怖がらずに世話をしてあげると、とっても仲良くなれるんだって。一緒に遊んでくれたりもするんだよ?

 ……あの世でね。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る