第9話 9 罵倒系配信者はヒロインに含まれますか?

 コメント欄

 それはそれは大変申し訳ないことをしたようで深くお詫び申し上げます。

 ↑誰?

 初見さんこんばんは

 初見さんこんばんはー

 もしかして本人来た?

 いや振りだろ振り。

 ただいまお電話をお掛けしてもよろしいでしょうか。


「ふぇ?」


 コメント欄

 マジで知ってるなら俺らが許す

 訴えられても裁判費用持つから絶対言ってやって

 再度フられることに乞うご期待!


「ちょちょちょちょっとまてええ。

 化粧してくるから待って!」


 どたばたとカメラをそのままにドタドタと部屋の扉に向かい画面外に消えていった。

 さて、こちらの事前に用意していた彼女の卒業アルバムに記載があった当時にしては珍しい彼女個人の携帯電話の電話番号を確認するとしようか。


 コメント欄

 既に時遅し

 この感じだとだいぶたってから見てるよね。

 一応メイク終わってから電話しますね

 今やったら化け物出てきそうだし賛成

 そやね

 メイクの途中で好きな人から電話かかってきたらワタシでも山姥になりそ

 ラブコメの始まりね

 くそうらやましい

 

 ほかにも様々なコメントが大量にあったが大量にありすぎて把握できない。

 配信者はその中の一部を拾って返しているんだからすごいよねえ。

 俺には到底できん。

 聖徳太子みたいに七人のことを聞き続けることすら不可能だってのに。

 女の化粧は長いというが、結構かかっているなあ。

 多分だけど、今日あった女性用の化粧を下地に男性風メイクをするための化粧品をつけているんだと思う。

 今はいったん化粧を落としてから再度やっているのかな。

 というかゲームのマッチが始まってるし、これは迷惑かからないか?


「ってあれ?

 マッチ全員動いてないんだけど?」


 サーバーエラー?

 んなことを思っていたらリスナーさんたちが答えてくれた。


 コメント欄

 今SNSでドコもトレンドになってるwww

 本日振られた幼馴染に罵倒系配信者がバレた件inFPS

 幼馴染に二度振られる件www

 FPSどころじゃないってみんな配信見てる件

 日本サーバー終わってるwww

 見ろ他外国サーバーも同じだぞURL.........


 なるほどねえ。

 みんな暇人か?

 色恋に対する執着高くない。

 最高の酒の肴って自覚はあるけどさ。

 ここまで人が集まるとは。

 男女比ってそこまででるか?

 

 男女比のかたよりは極端に大きいものではなく、あくまでも生物学的には許容の範囲内のはず。

 しかし、現状同時視聴者が10万人を超えるチャンネル乗っ取り配信みたいなドッキリ企画以上の人数が起こしなられていた。

 世界人口は前世とさして変わらない、少子高齢化社会に向かいつつあるのが現状。

 それに日本語の国際的言語習得難易度も変わらないままだ。

 特にライブ配信は字幕などが付かないためリアルタイムの翻訳が必要になるし、聞くのも苦痛じゃない?

 それだけ彼女の影響力が強いのかもしれないけど。

 チャンネル登録者数が一気に倍になっているのは翻訳する気がない外国人も含まれているのだろうか。

 

「あ、あれ?

 マッチ切ってなかったああ!!!

 き、嫌われないよね。

 ガサツな女だって思われないよね。

 って登録者数100万人!?

 どうしたのこれ?

 しかも同接10万人超えてる....」


 コメント欄

 俺らのことよりとっと幼馴染に準備万端と伝えろや!

 そうだそうだ!

 私らはラブコメがみたいんじゃ!

 テレフォンS〇Xがみたいんじゃ!

 イチャイチャラブラブタクティクスがみたいんじゃ!

 ↑垢BANされるわ!

 隠れてないで姿を見せい曲者!

 どんな姿だろうが笑ってやろう!

 これが貴様の死に場所だ!


 声だけ配信の中に突然入ったので、配信機材を切り替えたのだろうか?

 よくわからないけど、画面は見えていそうだから準備万端なら電話をしたいのだが。

 女性を待つのは前世のマナーだから紳士として待つべきものだが、いかんせん男はせっかちな生き物だ。


「く、殺せ!!!!!」


 扉を威勢よく開いたので部屋全体が響き、マイクに大きなノイズが走る。

 うるさい。


「こ、これが私の死に装束だああ!」


 わー、拗らせていらっしゃいます。

 まさに死に装束でくるなよ。

 結婚衣装の一つ白無垢。

 要は白の和服。


 コメント欄

 うわあww引く

 引く

 引くわ

 拗らせやべえ

 引く


 まあ電話しますか。


 プルルルルー


 俺が電話すると画面の向こう側のスマホと連動したので電話番号は間違いないようだ。


「き、来た。」


 覚悟をしていたのにびっくりした猫のように飛び上がり、びくびくとする芽衣。

 可愛いと思ったのはおじさん心。


「も、もしもし。」


「はい、岡田 芽衣さんのお電話でお間違いないでしょうか。」


「はい!間違いないです。」


「かしこまりました。

 すでにご存知だと思いますが、私は陸奥 一郎と申します。」


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次回

オサナナジミ昇天しそうになる。

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