第8話 雷都
天空都市雷都ウノミヤ、ここはアーケード街、この駅までつなぐ、殆ど上は見えないが、半透明な特殊なアーケードの上にもう2つの街を構成しており、一部4層構造の3層構造であり、珍しい街の構造をしていた。そこが天空通路と呼ばれ、ウノミヤを象徴する前衛的な再開発であった。今俺たちはその4層構造の三層目にいる。
「みづき、こんな街も珍しいよな。」
「なんだが、ワクワクするね。こうやって、空に浮いている街を歩くのって楽しい。あと1階上に上がると、そこはお店やゆっくりスペースと花が飾ってあるスペースぐらいしかないけど、屋根はないけど空や超高層ビルが見えて、とてもいい景色なんだって」
「そりゃいいな」
高さ約500mのそびえ立つ高層ビルは、この町全体の避雷針の代わりにもなっているらしい。
「ここの通りを左に曲がると県庁に直結しているのよ。右に行くと市役所に行けるの。それで、ここにあるのががウノミヤで1番高いビル、雷都タワーよ」みづきは軽く調べていた。
ところどころに動く歩道などがあったりしていた。
「なるほど、ここが雷都ウノミヤか」
俺たちは新しい街に心震えていた。
「そう言えばキリアはどこいったんだ?」
「買い物したいものが多いから1人で見に行くって言ってたよ」
「そして、あそこに走っているのが、LRT。あれと、動く歩道によって東西の2つの都心の心理的な距離を縮めたの」と街の人が話すのが聞こえた。
「へぇ〜あれがLRTって言うんだ。初めて見たねーカイー」
「初めてばかりだよ」
「あれ、いきなり天気が悪くなってきたよ」
「これが、ウノミヤ名物の夕立か」
俺たちは急いで、この街のランドマークである隣接していた雷都タワーに駆け込んだ。
ここは雷都タワー。そしてその先端にイオが立っている。
「ここに、本当にカイがいるのか」
雷鳴が轟き始めていた。そして、そのいかづちはイオの元へ届いた。
「おいっそこの!危ないぞー!」と警備員が叫ぶ。
「この程度のいかづち、私のパワーに変えて見せる」イオは天空に手を伸ばした。
「うわあああああ」
イオは完全にいかづちと同化していた。そして、その雷鳴は警備員を焼き払った。
「やはり、夕立は建物の中で休むのが1番だなみー」
「こういうシチュエーションもいいかも・・・笑。・・・灰色の空に、いきなり降り注ぐ酷い雨とところどころにある暗い雲、そして雷鳴!!」
目をキラキラした表情でみづきは静かに呟く。
「え、なんか言った?」
「いや何でも!!」
俺たちはちょうど4階の屋根がない天空広場にいたため、すかさず、雷都タワーに飛び込んだのであった。
「外に人がいるぞ!!もしかしたら、上から人が落ちてくるかもしれない危険だ!!!!!」無線により屋上付近にいる警備員から連絡を受けた警備員は、まだ人が残っていた天空広場に向かって大声でそう叫んだ。
「なんだと、こんな荒れた天気に!!!助けなきゃ!!!」
カイはそう言って、最上階へ向かう。みーは飲み物を買いに行っていた。
「あれ、カイは?」
「こんな天気の日に1番危険なあの場所にいるなんて、みづきを連れてくれば良かったか?いや、みづきを危険な目には合わせられない」
エレベータで最上階へ向かう。
「ここから外に出られそうだ。ここから出よう」
ガラス張りの一枚扉を彼は開けた。
「わかるわ。この懐かしい感じ、カイが近くにいるのね」
「おい、大丈夫か!!?」
カイがそこからみた頂上には、1人の影があった。その影は未だに黒い雲に覆われはっきりとは見えない。
「久しぶりね、カイ」
カイは耳を疑った。そして雷鳴の光と共に、数秒間その人物の顔がはっきりと見えた。
「イオ!!!」
あれから、カイと離れてから、イオは何不自由なく暮らしていた。
「カイは馬鹿ね、こうやってごますりしていれば楽に生きられるのにね」
雷鳴が轟いていた。
「イオ、お前なんでこんなところにいるんだ・・・」
「あなたを倒すためよ。いえハネストに戻す為と言ったほうが正しいのかしら」
「イオ、お前はザークに引き取られたんじゃなかったのか?」
「なんのことかしらね・・・?あなたは反乱者なのよ。わかっているの?」
その言葉遣いからは、昔のイオの面影がなかった。まるで、なにか魔物に取り憑かれたかのような、俺にはそう思えた。
「なぜだ!!イオ!目を覚ましてくれよ!!!イオ!!!!!」
「私はあなたを守るはずだった。でも変わったの」
「なんでお前と戦わなきゃならないんだよ!!」
「私は戦わなければならないの。そしてあなたを連れ戻す」
「もう一度考えてくれよ・・・」
「仕方ないのよカイ、もうあの頃の2人には戻れない。いくわよ」
カイがイオの剣術を受け止めながら言う。
「俺はお前を傷つけたくはない」
「甘いわね」
「なんでだよ。一緒に苦しい思いをしてきたじゃないか」
「私は変わってしまったの」
「お前と居た時は苦しいことばかりだったけど、その思い出は俺とお前の2人だけの宝物だ。戻ってくれよ、友達に、親友に」
「戻らないわ。受けてばかりなのね」
「お前が大切だから傷つけられるはずがないだろ」
「あなたはわかってない。ならなぜ剣を持っているんですか?」
「なめるなよ、俺だって、剣術や魔法を習ってきたんだ。これでお前の目が覚ませるなら戦ってやる」
「カイ!!!」
「あーら、新しいガールフレンドかしら。あなたって本当女を誑かせるのが得意ね」
「みづき!下がってろ!!」
「これでお終いよ、セイクリッド・ライジング」
「イオ・・・」
そう呟きながら、彼は堕ちていった。みづきはとっさで呪文を唱えた。
「レイ・アーク」
光の円が敵の視覚を奪う。そして建物から落ちそうになっていたカイを背負った。
「カイ、ここは一旦逃げるわよ」
こんな状態のカイを背負ったまま戦えない。(心の声)
「いいわ、今回はこんなもんにしてあげる。次にあったら、徹底的にやるわよ」そうイオは言うと、雷鳴轟く雨の中彼女タワーから落ちていった。
その時、キリアは…
「あれ…みんなはどこぉ〜迷ったよぉ〜」キリアはアーケード街で一人路頭に迷っていた。
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