第200話 占いの館

 次は占いの館。

 入口でアンケートがあった。

 悩んでいることと、職種と所属部署の項目がある。


「それを書いたら、もう占いでも何でもないだろう」


【いや、書かせるのはどうかと思うが、普通は占い師の会話で上手く聞き出す】

【遊園地の占いじゃ、こんなものかな】

【手間を省いているだけだと思う】

【世間話して聞き出すのは時間が掛かるからね】


「ええと、結婚ですね。17年後が良いでしょう」


【17年って蝉か何かか】

【中学生なら30代で結婚は遅くない】

【底辺おっさんの年齢なら17日後でも遅いぐらいだ】

【若返りは嘘なん?】

【あったら今頃は大騒ぎ】


 占いの館を出る。


「全ては繋がった。扇のようにね。その扇が畳まれ、一点を指し示す。低血圧事件の犯人は占い師」


【何でそうなる】

【やっぱり残念美人探偵だな】

【おっさん続きを聞いて】


「名探偵指扇さしおうぎさん、どういう推理ですか?」

「いいかね。遊園地に来て同じクラスの人間だと選別する必要がある。そこで占いのアンケートよ。職業と部署の欄があったでしょう。被害に遭った生徒は部署にクラス名を書いたのよ」


【なる】

【確かにそう考えると怪しいな】

【だけど底辺おっさんは変わりないよな】

【後で来るんだよ】


「じゃあ、明日にならないと結果は分からないってことか」

「ええ、明日を待ちましょう」


 それから、いくつか乗り物に乗ってから帰った。

 朝になったが別に異常はない。


「推理が外れたな」


【素人探偵だからね】

【可愛ければ、外れても許す】


 インターホンが鳴った。

 出てみると弥衣やえだった。


「ビンゴよ。私達のクラスが休んだ日と、比嘉師ひがし中の生徒が休んでいた前の日に占い師をやった人は同じよ」

「調べたのか」

「ええ、アンケートと勤務表を見たわ。被害にあった生徒はクラス名をアンケートに書き込んでる。それと校門で割引券を配るなんてことをした人がいないの」


【おお、これは当たりか】

【よっ、名探偵】

【ヘボとか言って悪かった】


「犯人の名前は?」

「それが履歴書も全てでたらめだったわ。履歴書の写真も占い師姿で顔を半分隠している」


【おう、これは確定だな】

【犯人は分かったが、いまどこにいるのか分からなければな】

【それな】


「振り出しに戻るか?」

「きっと犯人はまた犯行を起こす。名探偵の勘よ」


【そうしないと物語は進まない】

【次の事件まで探偵ごっこはお預けか】


「引き続き頼む」

「ええ、防犯カメラで犯人の体格はばっちりよ。顔は履歴書の写真があるけど、ベールで半分は覆われてるから、難しいのよね」


【ハッキングしてデータと比べるのだ】

【うん顔の半分でも一致する人は少ないだろう】

【ハッキングは犯罪だよ】

【誰も指摘してないけど。アンケートや勤務表、履歴書はどうやってみたんだよ】


「犯罪してないよね?」

「えへへ」


【ヤエちゃんの笑顔可愛い】

【こいつやったな】

【忍び込むのは大変だぞ。まして履歴書は鍵の掛かった所にあるはずだ】

【そこは。コボルトとケットシーがやったんだよ】


弥衣やえ!」

「あれよ、あれ。あれが、あれで、あれなんだよ」


【普通に犯罪だ】

【訴えればな】

【ヤエちゃん、前科一犯か】


「裁判になったら言え。最高の弁護士を付ける」

「大丈夫」


【通報しますた】

【きっとスキルで写ってないんだよ】

【何千人もいれば完全犯罪するスキルの組み合わせぐらいちょろい】


「うーん、違法捜査があったようだ。だが我々は尻尾を掴んだ」


【違法って言ったってドラマだろ】

【通報した奴、悪戯で訴えられるぞ】

【そうだな。ドラマを真に受けるのは小学生まで】


「いま、遊園地にあった履歴書の写真と、ホームページがある占い師の顔と比較している。ホームページがあれば、突きとめられるわ」


 弥衣やえの自信のありそうな顔。

 任せておけば良いな。


【ヤエちゃん賢いな】

【全国に占い師が何人いると思っている】

【しかも比較するには特殊なプログラムを組まなくてはならない】

【BOT制作か】

【金さえあれば可能だろう】


 うん、なんか分からないが金で何とかなるらしい。

 時間は掛かるだろうけど、いずれ分かるかもな。

 期待をしないで待っていよう。

 BOTって違法じゃないよね。

 いまさら聞くのも怖い気がする。

 まあ良いか。

 訴えられたら、裁判で勝つだけだ。

 どんな手を使おうがな。

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