第182話 おまけ3、キナコの日常

 ああ、今日もいい天気だわん。

 朝のほっとミルクは格別だわん。

 朝食は骨付きカルビタレ無しレア。


 美味しいわん。

 骨をカジカジ。

 歯磨き機能がある骨ガムをカジカジ。

 毛並みを綺麗にブラッシング。

 完璧だわん。


「おはようわん」

「おはようにゃ」


 モチの毛並みも良いようだわん。

 今日の予定はダンジョンだわん。


【キナコチャンネル始まった】

【おっさんは良いからヤエちゃんを映せ】

【ベストショットを期待するぜ】

【コボルトの幼児希望】

【討伐の話題が出なくて草】


 配信のオッケーだわん。


「よし、ミスリルゴーレムを乱獲するぞ」


 マスターの下知に従って行動するわん。

 ミスリルゴーレムは堅いから、浸透撃を食らわすわん。

 マスターが足を潰したおかげで相手はほとんど抵抗できないわん。


【ミスリルゴーレムがタコ殴りか】

【Sランクモンスターなんだけど】

【硬いだけの奴だろ】

【パンチラ希望】

【女の子成分が足らん】


 キナコとモチの性別について言った方がいいかわん。

 だが、ミステリアスが素敵だわん。

 秘密わん。


 難なく仕留めたわん。

 このミスリル1体で骨付きカルビが何百万と食えそうだわん。


【10分余りで、何十億か】

【ミスリル相場だだ下がりだな】

【許さん】

【損した人がここに】

【いや、ミスリル相場はやってないが、綺羅々きららちゃんがファントムにラブコール送っているぞ】

【なんだそんなことか】

【そんなことじゃない!】


 平和だわん。

 運動のあとは昼寝だわん。


 配信のカメラをコボルトの学校に設置しておいたわん。

 目が覚めたわん。


【ナイスシュート】


 カメラはフットサルを映していたわん。

 カメラを回収して、町内のパトロールわん。

 水よし、雨具よし。

 さあ、出掛けるわん。


 歩いて行くとコンビニで何か揉めてるわん。


「ここのカードハズレばかりだ。ほんとうにレアカードあるのか」

「こればかりは運ですので」

「ようし、そこまでいうなら、バックヤードにある在庫を全部持って来い。買ってやる。ただしレアカードが出なかったら、弁償しろ」

「それは、ちょっと、承服致しかねます」


「トラブルわん?」

「犬っころは黙ってろ」

「ようは当たりくじを引いたら良いわん。それわん」


「本当だな。あっ、レアカードだ。どうして分かったんだ」

「簡単わん。ひとつだけ匂いが違うわん。別の人が触っているわん」


【うそん、こんな簡単に】

【この配信見てたぶん対策されるな】

【レアカードは別の人が担当してたのか】

【そうとは限らんだろ】

【たまたまだな】


「キナコは他にも能力があるわん。霊感はモチにかなわんけどわん」


【匂い以外に能力があるのか】

【見たいな】

【俺も】


「電波をキャッチできるわん」


【なんというか、ほんとかそれ】

【たまに変に勘が鋭い時はあるけどな。地震の前に吠えたりとか】

【犬とは違うだろ。コボルトだ】

【コボルトは妖精だろ】

【なんかそっち方面はないのか】


「埋まっている物が分かるわん」


【それ匂い】

【まあ超能力じみてはいるけど】


「コロッケを買い食いして、水を飲むわん」


【買い食いのコロッケは美味いよな】

【出来立てたからじゃね】

【あつあつだからな】


「今日のパトロールは終りだわん」


 帰ってまた、骨付きカルビだわん。

 今度はホルモンも付けるわん。

 腹いっぱいになったら、歯磨きガム噛んで、寝るわん。

 風呂は結構だわん。

 あんなのは週に一回はいれば良いんだわん。


 ふむ。救急車が来たわん。


「わおーーーん!」


 コボルトの同胞から応答があったわん。

 みんな元気で何よりだわん。


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