貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる～庭のＦランク（実際はＳＳＳランク）ダンジョンで活動すること１５年、最強になりました～

第１８１話 おまけ２、ゴミ屋敷パート２

「わしの財産がぁ」

「危ないから家から出ような」

　俺は老人を優しく外に出した。

【ちょっと優しくなった】

【前は問答無用だったな】

【ひよった底辺おっさんなど見たくない】

「ふはは、邪魔者はいない。野郎どもゴミというゴミを猫削ぎ強奪するんだ。ケットシーで、猫だけにな」

【猫削ぎ、おっさんギャグか】

【素で間違えているかも知れん】

【でも猫削ぎは良いかも。ちょっと気に入った】

【猫って確かにがばっと持って行くよな】

【おお、何度盗られたことか。体に悪いから辞めて欲しい】

【人間の食事は塩とかたくさん入っているからな】

「猫削ぎだ」

　ケットシーとコボルトがどんどんゴミを片付ける。

　写真アルバムとか記念の品は残してやった。

　グレーゾーンは老人の家族に分別してもらった。

「くそう、やりたい放題しやがって。わしは許さんぞ」

「よし、グラトニーに食わせる映像を見せてやれ。ほらほら、ゴミがどんどん消えていくぞ」

「放せ、この蛮行を止めに行くんだ」

【ダンジョンに入れないだろう】

【いや、分からないぞ。老人パワーを舐めたらいかん】

【ケットシーの拘束を振りほどけないのにか】

「気持ちいいな」

「気持ちいいわけがあるかぁ！　訴えてやる」

「どうぞ。家族から承諾は貰っている。近隣住民の許可もな」

【どうにもならんの？】

【家族が騙して判子を貰っているらしい】

【いやそれは詐欺で訴えられるだろう】

【騙したとは言ってないんだよな。家族が説得したと言っている】

【弁護士に助言を求めて、裁判で勝てるようにやっているのか】

【ああ、底辺おっさんの悪辣な所だ】

【家族は普通に説得しましたよって言うんだろうな】

「おお、信楽焼の狸か」

「ゴミ」

「くそう、これは高かったんだぞ」

「気にしないで下さい。お父さんはリサイクルショップで貰ったと言ってました。端が欠けているでしょ。で売り物にならないからただで貰ったらしいですよ」

「くそう」

「おお、カセットテープとデッキ。これ動くのか」

「ゴミ」

「いつか値段が上がるんじゃあ！」

「おお、デジカメ」

「ゴミ、充電池が駄目になって、こんなの使えません」

「メーカーに注文すればまだまだ現役だぁ」

「次は、ゴルフバッグか」

「ゴミ、こんな薄汚れたゴルフバッグなんて誰も買いません」

「綺麗にすれば使えるんじゃあ！」

「お父さん、ゴルフしないでしょ。クラブがないのにこれだけをどうするつもり」

「物をぽんぽん捨てやがって、いつか泣きをみるぞ」

「グラトニーマテリアルにリサイクルされているから」

「そんなの認めん」

【懐かしい物ばっかりだな】

【思い出の品なんだろうな】

【でもゴミだ】

【まあね、使えないならリサイクルした方が良い】

【中にはお宝もあるんだろうな】

【そんなこと言うからゴミが減らない】

【俺はある程度散らかってないと落ち着かん。ゴキは勘弁だが】

【そういう奴はいるな】

【綺麗になってないと気持ち悪いだろ】

【賛否両論あるが、ゴミ屋敷は駄目だ】

【まあな】

　ゴミの分別は進んで行く。

　風呂場が綺麗になった。

「喜べ風呂に入れるようになったぞ」

「銭湯があるわい」

「傘多いな。何本あるんだ」

「知らん」

「傘は良いのを３本残して、全部ゴミで」

「くそう」

【ビニール傘は要らないな、骨が少し曲がった奴なんか要らん】

【要らんね。傘は買うと高いけど】

【値段で残すか分別してたら片付かん】

【最低限、生活していける物だけで十分】

【だな】

「フロッピーが出て来たぞ。それも特大のお化けみたいなのが」

【８インチね】

【俺、見たことも使ったこともない】

【それが普通】

【うちわになりそうだ】

【フロッピーのうちわ、良いかもね】

【リサイクルならそうやって売れば】

【ゴミ屋敷の人に売るという辞書はない】

　どっから貰ってきたんだという物が多数ある。

　蓄音機もあった。

　レコードがあったので掛けてみたが、動かない。

　まあそんな落ちだよね。

　アンティークとしては良いかも。

「蓄音機は売りで」

「オークションに掛けるか」

「勝手に売ったら許さんぞ。お気に入りなんじゃあ」

「やっぱりゴミで」

　蓄音機がグラトニーに吸い込まれる映像が届いた。

「あっ＃＆％＄％＄￥……」

　意味不明なことを言い始めた。

「ポーション飲ませる？」

「はい、念の為お願いします」

　老人の口にポーションが突っ込まれた。

「ぷはぁ、わしは病気じゃない」

「ゴミを集めるのは病気だから、しばらく入院したらいい」

　ゴミ屋敷がひとつ減った。

　まだまだゴミ屋敷はいっぱいある。

　役所とかに強制執行の書類とか出させたいな。

　そうすれば問答無用でことが済む。