第167話 ブドウ畑
ラブリーネスト6階層はブドウ畑。
パラサイトウルフが生っているブドウを食べている。
肉食じゃないよアピールか。
確保隊がパラサイトウルフをブドウで餌付けしている。
【ブドウ大好物なのか】
【誰がブドウの世話しているのかな】
【ダンジョンじゃね。考えたら負けだ】
【なんか。物を食べているラブリードッグを見ると幸せな気分になれる】
【あいつらは寄生虫だぞ】
【喧嘩するなよ。ブドウでも食って落ち着け】
【いまブドウは店に並んでない】
【そこはブドウ酒で良いと思われ】
【寄生虫呼ばわりは許さん】
【俺、こういう争いより。討伐の映像を楽しみたい】
【お前、ラブリードッグの討伐映像がみたいのか。フレンドリーモンスターを守る会を敵に回したな】
「俺達はボスを討伐する。確保隊にザコを排除させて楽になった」
【ダンジョンを討伐されちゃうと、もうラブリードッグは増えないのか】
【自然繁殖するみたいだよ。ただ、魔力の濃さとかの影響か少ないけどね】
【俺もラブリードッグを飼い始めた。可愛いのなんのって。だって等身が子犬で中型犬なんだよ】
【俺はお前の冥福を祈るよ】
【ラブリードッグが狂暴だというデマを信じている奴は馬鹿】
「ほら、ボス部屋だ」
ボス部屋に入ると酒の匂いがした。
ボスのパラサイトウルフはよちよちと危なっかしく歩いてる。
【可愛い歩き方だ】
【子犬歩きだな】
「死ね」
ボスがハチの巣になる。
【なんてことを】
【血も涙もないのか】
【ロクター! 死ぬな、死ぬんじゃない!】
【名前付けたのか】
【ボスは狂暴って確保隊が証明してる】
【理想はボスをおっさんに討伐してもらって、ダンジョンコアを取らないことだ。そうすればラブリードックのブリーダーダンジョンになる】
【ビッグラブリードッグの犠牲に目をつぶれというのか】
【そうだな。許せん】
【ボスは狂暴って何度言えば】
ポータルに登録して、ダンジョンを出た。
そう言えばお土産があるんだよな。
ブドウを採取してきた。
買取場のおっちゃんに鑑定してもらうつもり。
「どう?」
「ワインにできる。食っても美味いな。ただ魔力がないと育つかどうか」
「ビニールハウスの中を魔力で満たすとかできないの」
「そういう施設はあるな。ただ魔力を満たすのは人間だ。維持費が掛かってワインのためには運用できない」
【あのブドウ。高級品種になるのかな】
【俺も採取に行こう】
【育てる設備がないのにか】
【そんなの試行錯誤でなんとでもなる】
【今ならごっそりブドウを収穫できるぞ。急げ】
【ラブリードックの餌を奪わせてなるものか】
【いや、ダンジョンの生き物は基本食わなくても生きていけるから】
【俺もブドウ狩り行くぞ】
さて、ファントムになってパラサイトウルフを駆除して回りますか。
「ぎゃあ。誰か」
精神魔法でパラサイトウルフをけしかけると、助けを求める声が上がった。
玄関の扉は開いている。
中に入るとお婆さんが必死に抵抗してる。
「駄目!」
俺を見るとお婆さんは俺の前に立ち塞がった。
「どけ」
「どかない。きゅうべぇは殺させない」
パラサイトウルフが背後からお婆さんに襲い掛かる。
俺はパラサイトウルフをバールで殴打した。
「なんてことを」
「ファントムヒール。一応病院に行くと良い」
俺は救急車を呼んだ。
「この恨み」
お婆さんが包丁を持ち出して構えた。
目が完全に据わっている。
「さらばだ」
こういうのに付き合いきれん。
しかし、全国に広がったパラサイトウルフをどうするかな。
今こそ金の力だ。
ラブリードックを譲って下さい謝礼は10万円払いますとの広告を出した。
そうしたら、飼うつもりもないのに確保隊から譲ってもらう奴が多数でた。
ラブリーネストに入って捕まえる奴も多数。
金の無駄遣いのようだが、こんな時に使わないでいつ使う。
引き取ったパラサイトウルフは処分した。
分からないように秘密裏にだ。
ただこの工作も何時まで持つか。
何かもっと良い手を考えないと。
とにかく馬鹿な頭で考えた。
パラサイトウルフは犬と違う。
動物病院には掛かれない。
それで俺はパラサイトウルフ専用の病院を立ち上げた。
こうすれば、どこで飼っているか情報が集まるからだ。
その病院には獣医師が勤務してる。
獣医師には俺の企みは伝えてない。
第三者を介したから繋がりも分からないはずだ。
金さえあればこういうこともできる。
情報は続々と集まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます