第155話 サンドジャイアント
巨人のダンジョンは砂漠。
現れたのはいつもの巨人の5倍はある巨人。
100メートルぐらいあるのではないかな。
高層ビルクラスだ。
【でっか】
【絶景だな】
【これは強敵か】
【でかいのはそれだけで強い】
巨人に矢は刺さり、何かサラサラとこぼれた。
こいつの正体と弱点が分かった。
サンドジャイアントと呼ぼう。
【防御力はそれほどでもないな】
【これで硬かったら、お手上げだ】
とりあえずバリスタの向きを上に変える。
今度は矢が頭に突き刺さった。
サンドジャイアントが崩壊する。
【うお、ビル解体みたい】
【砂埃が凄いな】
【意外にあっさり死んだな】
【ええと砂でできた張りぼてってこと?】
そうなんだ。
こいつは砂で出来ている。
でかいのは強いが、それだけだ。
術者の巨人は頭の部分に乗っているらしい。
【巨大砂ゴーレムに乗ってただけか】
【巨人を守る会は何にも言わないな】
【だけど、人間を許すとか言ってたが、人間を食わないとは言ってないんだよな】
【過去の戦いを水に流そうということだけか】
【そんなのじゃな。ほとんどの人間は被害者だ。償って貰わないと】
バリスタの矢と、超巨大巨人の手足と撃ち合いだな。
バリスタを外しまくると危ないかもな。
俺ならやっぱり連打で破壊する。
ダルマ落としみたいに、下から壊せば、そのうち頭に届く。
さて、
採った方策はヒットアンドアウェイ。
サンドジャイアント、でかいが遅い。
でかぶつにあり得るような弱点だ。
【砂巨人を倒すのが作業になってきた。このフィールドも終わりだな】
【ただ撃ち合いはまだるっこしい】
【あれにまともに接近戦は死にに行くようなものだ】
バリスタを引いて回るモチとキナコがひいひい言っている。
見かねた
俺も手伝いますかね。
バリスタを引くのを手伝った。
【おっさん、力があるな】
【ただたんに引き手が4人になっただけ】
【おっ、ボス部屋の扉があるぞ】
砂漠の真ん中に扉があった。
いかにもだ。
中に入ると、石の100メートルはある巨人がいた。
うん、砂が石になった所でね。
モチがバリスタの矢に酸を塗る。
そうなるよな。
発射。
石の巨体をバリスタの矢が貫通する。
時間の問題だな。
そして、操っている巨人を仕留めて石の巨人は停止した。
ポータルに登録して、ダンジョンから出る。
テレビ局が来てた。
巨人を守る会の取材らしい。
見学する。
巨人は話し合いができる存在ですとかなんとか言っている。
【巨人を守る会って胡散臭いんだよな】
【胡散臭くない。謝れ】
【巨人が優しい存在だというのが証明された】
【話し合いさえすれば分かり合える】
【おっ、一斉に出てきたな】
【
【討伐を辞めろ】
「辞めさせたきゃ法律を持ってこい」
法律ができるのも時間の問題かもな。
【巨人が言うことには、人間が話せるとは思ってなかったそうです。互いに意思疎通出来ないと思ってた節があります。相互理解が正しい道です】
「巨人が人食いを辞めると言ったのか。仮に言ったとしてそいつらの言うことは信じられるのか」
【信じられんわな。だって人間が小人を見つけたとして、捕まえようとか思うかもしれないが、食おうとは思わん】
【すべては理解が足りなかったのです】
巨人を守る会は魔王との関連が疑われるからな。
どういう関わり合いかまでは分からんが。
神話の巨人とかは悪役が多いんだよな。
今いる巨人と一緒かは分からないが。
さて、どうするべきか。
巨人の討伐を辞めるか。
俺は馬鹿だからよ。
実際、判断は直感ですることにしてる。
巨人てのは俺達を虫を見る目で見る。
それも餌としての虫だ。
そんな連中と仲良くやれるか。
やれないと思う。
直感がそう言ってる。
もし、巨人が良い奴だったら、その罪を俺は一生背負うとしよう。
決断がついた。
「俺は巨人の討伐をやめない。それは俺が悪だからだ」
【この人でなし】
【天国に行けませんよ】
【あなたは間違っている】
【必ず止めてみせます】
「ああ、待ってる」
だよな。
俺の脳裏にはスタンピードで巨人に殺された人々の記憶がある。
あれを忘れるなんて出来ない。
法律ができるまでは巨人を殺し続ける。
それが俺の美学だ。
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