第151話 5円玉
巨人のダンジョン、遺跡フィールド。
いたのは蔦を纏った巨人。
こいつは見たことある。
アイビージャイアント。
蔦で首を絞められ、多数の被害者が出した奴だ。
まあ、バリスタの敵じゃないな。
射程でも勝ってるし、酸を塗ったりすればさらに凶悪だ。
【おー、バリスタ無双】
【相性の問題だな】
【まあそうなるよな】
【
【あの蔦は厄介だから、接近戦はお勧めできない】
【蜘蛛モンスターみたいな奴だからな】
【毒はないけど概ねそうかもな】
「今回は俺の出番はないようだ」
【いつものことだがな】
【立ってるだけで大儲けできるのなら俺もやりたい】
【偽業者、訴えたらしいな。サイトのいくつかは閉鎖してる。金払ったのに商品が届かないと苦情多数らしい】
【逃げたな】
「ふふふ、逃がさんぞ」
コボルトとケットシー達に俺は匂いを追わせた。
全員の居所は分かっている。
詫びを入れてきたら、金をむしり取って許してやろう。
惚ける奴はあれだな。
久方ぶりのあれだ。
遺跡フィールドの攻略は簡単だった。
遺跡を抜けるとそこは沼地。
今度は水対策か。
まあ、
ダンジョンから出ると、巨人を守る会が復活してた。
どうやら炎上は収まったらしい。
巨人の風習として、人骨を弄ぶのは許せませんと。
巨人に啓蒙するためにも支援を下さいとある。
唾棄すべき風習は改めさせるというスタンスに切り換えてなんとか乗り切ったらしい。
「巨人は言わば幼子。現代人が文明をもたらして手を引いてやらねばならないのです」
なるほどね。
そんなことを言うのか。
「じゃあ巨人に食われた家族の前でもそれ言ってみろ」
【まあそうだよね】
【無視してるな】
【ある意味で敗北を受け入れたんだろうな。おっさんを刺激するとよくないと】
【配信にアンチコメいれなくなったのはそういうことか】
【だけど無視しても、おっさんは突っつくだろう】
【弱い奴には強いからな】
「これから、俺は悪徳業者を訪ねる」
【偽ファンクラブのあれね。訪ねてどうするんだ。文句をいうのか】
【金の力でなんとかするのかな。色々と調べ上げれば弱点のひとつやふたつ】
【CGの時に呪いとかあったが】
「おう、それをやる。あれの種は5円玉なんだよ」
【催眠術か。普通に傷害罪】
【5円玉としか言ってない】
【5円玉を投げるのかも】
業者はアパートにいた。
チャイムを鳴らす。
しつこく何度も。
「新聞なら要らないんだよ! しつこいと警察呼ぶぞ」
「おたくを訴えてる
「なんの用だ」
「顔を見に来ただけ。気が変わったら電話してくれ」
俺は名刺を渡して、呪いを解き放った。
【催眠術が掛ったのか】
【きっと催眠光線が出るペンでも使ったのさ】
【金の力って恐ろしい】
何軒もの業者を訪ねた。
「おい、助けてくれ。末期癌だってよ。ノアフォロが唯一の救いなんだ」
さっそくきたな。
電話でも良いのに。
【末期癌だと思い込まされているのか】
【催眠術恐るべし】
【証拠を残さない所なんか悪辣だ】
「よし、悪事を働いて稼いだ金を吐き出してもらおう」
「払うよ。助けてくれ」
【あー、術中に嵌っているな】
【まあいいんじゃね。俺には関係ない。金の返金にも応じるだろうし】
【おっさん、悪だな。だがそれが良い】
「おっ、また来たな」
「お前、癌になる毒を盛ったな」
「証拠があるなら、訴えてみろ。民事でも刑事でもいいぞ」
【証拠がないんだよな】
【催眠術は証拠が残らないのか。他の催眠術士なら破れるんじゃないのか】
【そこらへんはなんともな。催眠光線ならどうなるか分からん】
「くっ」
「まごまごしてると病死するぞ。さあ選べ。俺の軍門に降るかな」
「治るんだな」
「ノアフォロで検索すれば分かる」
【こいつらこの配信を知らないのかな】
【知ってても暗示が解けなきゃそれが真実】
【おっさんの幻想の世界は凄い。CGの時、おれも暗示に掛かってたんじゃないかとさえ思うぜ】
【催眠術を使っておっさんはエロいことしないのかな】
【ヤエちゃんで間に合っているのだろうな】
「分かった。好きな様にしろ」
【またひとりカモが】
【分かっていても駄目だろうこれは。掛かったら最後だと思われ】
【こんなの無敵じゃん。ファントムやばいかもな】
【結局、おっさんは最強か】
業者の半分は示談に応じ、悪質なのはもれなく呪いに掛かってもらった。
やがて全員の始末が付いた。
悪徳業者だったやつらには正規のファントムファンクラブを手伝って貰っている。
こいつらのグッズ開発力は目に見張るものがある。
それにグッズを作る業者を安く使う。
こんなに仕事ができるんなら、普通に仕事しろよと思う。
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