第150話 ウインドジャイアント
巨人のダンジョン第4階層。
荒野だ。
風が凄い。
土埃が霧のようだ。
見通しが案外悪いというのは利点かな。
大挙して巨人が押し寄せてくることがない。
巨人が現れた。
素手だな。
だが、奇妙な踊りを踊っている。
矢は逸れた。
うむ、結界魔法みたいなのかな。
壁で阻むというより受け流しに近い。
剣は見えない何かに受け流されて逸らされた。
シロガネの顎も同じだ。
【結界かな】
【意表をついて糸とか】
【見えない手さばきとか】
相手の攻撃の正体が分からないと。
巨人が正拳突きをする。
何となく正体が分かった。
それは風だ。
相手は空気の流れを操る。
「ウインドジャイアントだな」
【映像じゃ風までは分からん】
【吹っ飛ばされたのはエアーハンマーね】
【グラトニーマテリアルの矢ならなんとかなるかも】
その考えは
「モチちゃん、グラトニーの矢をお願い」
「はいにゃん」
「発射準備オッケーですわん」
「発射」
グラトニーマテリアルの矢は逸らされた。
その理由は分かる。
グラトニーマテリアルの矢と言っても矢尻だけがグラトニーマテリアルだから、矢本体は風の影響を受ける。
【おっと強敵か】
【ヤエちゃん頑張れ】
【ここは撤退して出直すべきでは】
マグネタリウム製の爆弾を
爆弾の破片がウインドジャイアントを襲うが、全て逸れた。
俺ならやっぱり連打で片を付けるな。
ちょっとうずうずした。
「ここからはCGの世界」
【おっ久しぶり】
【たまにはこういうのも良い】
【無駄に金を使っているな】
【リアルタイムでCGを作成するってどんだけ】
【AIを駆使しているんだろ】
俺はウインドジャイアントに歩み寄ると、連打を始めた。
うむ、軌道をそらされるな。
だが、音速を超えればどうだ。
衝撃波が生まれ、ウインドジャイアントはミンチになった。
うん、連打の敵じゃなかった。
「CG終わり」
【スタッフはどうやって倒したん】
【風の向きをコンピューターで予測して、刻一刻と変わる台風の目みたいな物をはじき出した】
【人海戦術には対応できないと思われる。風を操るっていっても、そういくつも同時に操れない】
【そうかもな】
別のウインドジャイアントが来たので、
懐かしいな。
ウインドジャイアントに対してはつま楊枝ぐらいの矢だな。
こんなのでどうするんだ。
酸が塗ってあるからか、矢は貫通した。
風も複数同時は無理みたいだ。
そして、頭に当たった矢が出た。
ウインドジャイアントは一言呻くと倒れた。
脳に矢が刺されば死ぬよな。
とにかく攻略は成った。
それからは単純作業だ。
俺と
ますます効率が上がった。
そして、荒野を抜けて、遺跡に辿り着いた。
今日はここまでだな。
ダンジョンから出ると。
【ファントムのファンクラブ乱立】
【知ってる。おっさんにとっては良い方向かもな。ファントムがさらに苛立つ】
【悪徳業者が多いらしいぜ】
「俺以外の悪は許さん」
【おっ、おっさんが立ち上がった】
【どうするのか見物】
【訴訟合戦になるのかな】
「じゃじゃーん、ファントムからの委任状」
【なぬ、おっさんファントムと知り合いなのか】
【なわけないだろ】
「まああれだ。コンピューター」
【金の力で作ったな】
【プロッタとかあるからな】
【それなに】
【簡単にいうとロボットがペンを動かす。だけど見破られない物はかなり金を掛けないとな】
「とにかく俺には委任状がある。偽ファンクラブよ、震えて眠れ」
【その台詞、久しぶりに聞いた】
【訴えられたら負けるのか。どうしておっさんのそれが本物だと分かる】
「最初のファントム争奪戦の時にファントムは署名してる。その筆跡と照らし合わせれば分かる」
【悪知恵が働くな。おっさんの筆跡データはそこから取ったのだな】
【冒険者協会に協力者がいるのか。そりゃ勝てんな】
【悪徳業者ざまぁ】
【おっさんが一番悪徳だ。だってこれから訴えて金を搾り取るんだぜ】
【ファントムが文句を言ってこないからな】
【金の力には勝てないのか】
うははは、ざまぁみやがれ。
俺のアイデアをパクろうとするからだ。
そんなことは許さん。
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